2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Robust Breath Odor Analysis Based on Ensemble Analysis of Odor Sensing Data
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22K19892
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長島 一樹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10585988)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 呼気診断 / アンサンブル解析 / 匂いセンシング / 人工嗅覚センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
生体化学情報を非侵襲で収集する生体ガスセンシングにおいて、多くのバイオマーカー分子は日常活動による代謝に強い影響を受ける。本研究では、1)生体ガス中における多成分マーカー分子群の連動的挙動に基づく生体化学情報収集の原理構築を行うと共に、2)集積化分子認識センサデバイスにより環境変動に影響されない堅牢な呼気診断技術の実現を目指している。研究計画1年目に当たる本年度は、血中グルコース濃度と呼気成分分析から得られる膨大な分子データに対して機械学習による相関付けを行った。呼気血糖値マーカー分子として知られるアセトン、エタノール等が強く影響を受ける活動環境下(飲酒時・運動時)で取得した呼気においては、血糖値との明確な相関は得られなかった一方で、膨大な呼気成分データから上記以外の環境変動に強い血糖値マーカー分子群を同定し、それらの連動的挙動に基づいて血糖値レベルを推定した結果、両者間に良好な相関が見られると共に提案手法の有効性が確認された。また、16チャンネルの集積化人工嗅覚センサを介して得られた呼気ガスセンシングデータに対して特徴量抽出と機械学習による血糖値との相関付けを行った結果、抽出した多数の特徴量の連動的挙動に基づき、呼気成分分析結果と同様の良好な相関性が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で提案している多成分マーカー分子群の連動的挙動を介した呼気診断の有効性が呼気成分分析、および呼気センシングの両面において確認され、従来呼気血糖値マーカーが有効に作用しない活動環境下(飲酒時・運動時)においても安定的に呼気から生体情報を収集できる十分な可能性が見いだされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見に基づき、糖負荷試験による意図的な血糖値変調を行い血糖値マーカー分子群の濃度変化挙動を追跡すると共に、ダイナミックな血糖値変動を捉える血糖値モニタリング機能を実証する。また、連続的な変動環境下(平常・飲酒・運動・糖摂取の任意の組み合わせ)における時系列血糖値計測を行い、生体ガスセンシングによる堅牢な非侵襲血糖値計測・モニタリング機能を実証する。
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Causes of Carryover |
研究開始早期に次年度の北海道大学への異動が決まったが、異動後の研究機関において本研究を滞りなく実施するために、本年度の助成金執行を控えることにした。本年度において実施した提案手法の原理検証は、研究室における在庫消耗品および研究計画提案時に試作・保存しておいた分子認識センサを用いて行った。本年度助成金の未使用分は、次年度請求分と合わせて異動後の研究機関における実験装置・実験消耗品購入や共通機器使用料などに充当させ、切れ目のない研究計画を実施する予定である。
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