2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of high gravity-sensing mechanisms in cells and its application to control cellular phenotype and differentiation
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22K19898
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
坂元 尚哉 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (20361115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤江 裕道 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (20199300)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 生物・生体工学 / 細胞バイオメカニクス / 細胞骨格 / 細胞核 / 高重力 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず二次元平面基質に培養した細胞への高重力負荷を行った.カバーガラス上に培養した平滑筋細胞に対してプレート遠心分離機を用い,通常培養状態での重力方向である細胞下向きに1000gの高重力を10分間にわたって負荷した.その後,細胞骨格であるアクチンフィラメントおよび微小管,また細胞核を蛍光染色により可視化し,それぞれ顕微鏡観察を行った.その結果,通常重力環境(1g)で培養した細胞と比較し,細胞骨格構造および細胞核形状ともに高重力負荷の顕著な影響は認められなかった.このことから,細胞鉛直下方向への高重力負荷は細胞構造に変化を与えないことが示唆された.さらに,細胞の側方向からの重力負荷も試みた.遠沈管内にシリコーンゴム製の台座を設置し,カバーガラスを立てた状態で遠心分離を行った.その結果,台座およびカバーガラスともに高重力の影響と考えられる破損が生じ,細胞観察まで至らなかった. また,高重力環境による細胞形質変化の評価に用いるPCR法の確立を行った.特に,コラーゲンゲル基質中に包埋した平滑筋細胞からのRNA抽出方法に関して,サンプル保存および破砕方法,使用する溶媒,またスピンカラムの組み合わせを検討した.抽出の際にRNAが破壊されるケースも存在したものの,結果的に安定的なRNA抽出方法を確立することができた.その後,平滑筋細胞の表現型制御培養液を用いて,遠心圧縮したコラーゲンゲル中の平滑筋細胞を合成型から収縮型に誘導した後,RNAを抽出した.PCR法により収縮型平滑筋細胞マーカーである平滑筋ミオシン重鎖や平滑筋αアクチンの発現量増加を確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた二次元平面基質上に培養した細胞に側方向からの高重力負荷には至らず,またコラーゲンゲル中の細胞からのRNA抽出方法の確立において,予定より時間を要したことが原因としてあげられる.
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Strategy for Future Research Activity |
側方向からの高重力負荷の際に用いる基質の変更,また高重力方向に垂直ではなく30度程度の角度を設け,斜め方向に高重力を負荷する方法を用い,二次元基質上での実験を実施する.また三次元コラーゲンゲル基質中の細胞に対しても高重力負荷を行い,当初の計画通り,アクチンフィラメントのリン酸化状態および細胞核内構造変化を蛍光顕微鏡観察により確認する.その後,細胞の遺伝子発現状態の評価,さらにそれら発現変化に対するアクチンフィラメント張力の関与について検討を進める.
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Causes of Carryover |
当初予定に比べ,実験条件の確立に時間を要し,若干の遅れが生じたことが原因である.問題は解決済みであり,前年度予定していた内容を今年度実施するための予算として使用予定である.
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