2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K19899
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長瀬 健一 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 准教授 (10439838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綾野 絵理 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 研究員 (10424102)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 温度応答性高分子 / 高分子ブラシ / 機能性界面 / バイオ界面 / 細胞分離 / 細胞組織 / 細胞治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、治療用細胞を効率的に界面で作製するための機能性バイオ界面の作製を目的にしている。 令和4年度は、標的細胞を界面上に効果的に捕捉するための機能性バイオ界面を作製した。ガラス基板の表面に原子移動ラジカル重合(ATRP)の開始剤をシランカップリング反応により修飾した。さらに、クリック反応の官能基であるプロパルギル基を有する高分子を一段階目のATRPにより修飾し、二段階目のATRPで温度応答性高分子を修飾した。その後、クリック反応により細胞と特異的な親和性を有するペプチドを高分子界面に修飾した。高分子の鎖長、ペプチドの修飾密度を変化させ、様々な高分子ブラシ界面を作製した。 作製した細胞親和性ペプチドを担持した高分子ブラシに、ペプチドと親和性を有する標的細胞と夾雑細胞を温度37℃で播種し、接着挙動を確認した。標的細胞は、温度応答性高分子の鎖長が短い高分子ブラシに接着することがわかった。一方、温度応答性高分子の鎖長が長い高分子ブラシには接着しないことがわかった。また、ペプチドと親和性を持たない細胞は、温度応答性高分子の鎖長が短い高分子ブラシにも接着しなかった。これにより、温度応答性高分子の鎖長が短い高分子ブラシ界面にのみ、細胞とペプチドの親和力が働き、効果的に細胞を接着させることがわかった。 また、高分子ブラシ界面に接着していた標的細胞は温度を低下させることで、高分子ブラシ界面から脱離させ、回収できることがわかった。 これらの結果より、標的細胞の高分子ブラシ界面への選択的接着と温度低下による標的細胞の回収が可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に予定していた標的細胞のみを選択的に接着させる機能性高分子ブラシ界面の作製に成功している。また、標的細胞の回収率を上げる条件検討をすることができた。これらの理由より当初の計画どおり順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、令和4年度に引き続き、界面上で細胞を操作する機能性高分子ブラシ界面の作製を行う。さらに、標的細胞の回収操作の最適化、標的細胞の機能性の評価などを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、予定していた国際学会での発表がキャンセルとなった。そのため、当初予定していた出張旅費、滞在費が不要となった。次年度以降への出張費用、滞在費などに使用する予定である。
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