2022 Fiscal Year Research-status Report
輸血用血液開発戦略としてのヒトES細胞を出発原料とした赤血球の製造
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22K19900
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大石 芳江 順天堂大学, 革新的医療技術開発研究センター, 特任研究員 (90648130)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ヒトE細胞 / 赤芽球 / 分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒトES細胞を出発原料として赤芽球、赤血球を効率的に分化誘導するための技術、製造した赤芽球の効率的な増殖法および凍結保存法を開発し、安定的に輸血用血液を供給する仕組みを構築することを目的としている。 今年度は、1) 原料とするヒトES細胞の選定および2) マウスES細胞を用いた赤芽球への分化誘導法の検討を実施した。1)では、順天堂大学で所有するヒトES細胞 7株のうち2株について、支持細胞を必要としない (Feeder Less) 培養法を確立し、各株の培養には、細胞死を抑制するROCK阻害剤の要求性がそれぞれ異なることを確認した。赤芽球へ分化誘導する株として、培養効率の点からROCK阻害剤要求性の低い株を選定した。 2)では、マウスES細胞をOP9との共培養によって細胞塊を形成させ、得られた細胞塊の培養期間を検討した。培養期間を変化させた場合に、qPCRにより発現遺伝子を解析した結果、短期間での場合は胎児型の造血幹細胞、長期間の場合は、成人型の造血幹細胞が誘導される可能性が示唆された。成人型の造血幹細胞へ誘導した細胞は、その後の赤芽球への分化誘導により半永久的な増殖を示し、それらの赤芽球は成人型を示すグロビン遺伝子 (α-globin, β-globin)の発現の増加が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
順天堂大学で保有するヒトES細胞7株のうち2株の培養は実施、継続しているが、5株については未実施である。ヒトES細胞はマウスES細胞と異なり、非常にストレスに弱く、通常の細胞培養操作では簡単に細胞死を起こすため、培養の継続が困難であった。そのため、マウスES細胞では効率の良い赤芽球の分化誘導法が確立できているが、ヒトES細胞への応用が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、培養に着手していないヒトES細胞5株について拡大培養を実施すると共にFeeder Less化し、赤芽球を製造するための出発原料として保管する。それらの細胞の性質を生化学的、分子生物学的手法によって解析した後、赤芽球への分化指向性の高い株を選定し、マウスES細胞にて得られた分化誘導法の知見を基に赤芽球への分化を検討する。
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Causes of Carryover |
当該未使用額は補助事業を誠実に遂行した結果生じたものであり、令和5年度に使用することによって、より研究が進展することが見込まれます。また、交付された補助金は、補助条件に従い適正に使用します。
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