2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of non-immunogen-related immunological memory
Project/Area Number |
22K19901
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
白石 貢一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (40426284)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 慎一 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (10520702)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | ポリエチレングリコール |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリエチレングリコール(PEG)は生体分子との相互作用が極めて小さい分子であることが知られている。本申請者は、PEGと抗PEG抗体との関係から本質的にPEG鎖に免疫原性はないものの、低親和性、かつ構造的な特異性があることに着目しており、本研究の問いは免疫記憶B細胞形成無しに抗原特異的な免疫的な記憶の働きが存在しているのではないか?である。即ち、非免疫原性PEGの曝露においても、免疫的な記憶が残り、同じ分子に対する再感染への応答を準備している側面があるという仮説である。実験室において、抗PEG抗体とPEG鎖との相互作用を十分に誘起させる濃厚条件により、抗体側に抗原を結合させる有効な構造変化を誘起できないかを検討し、かつin vivoにおいて、PEG投与における抗体産生の影響を試みた。 第一に、希釈条件下においては速やかに抗PEG抗体から解離してしまうPEGに対して、濃厚PEG溶液中に抗PEG抗体(IgG、IgM)を加えると、GPC測定において抗PEG抗体が抗体ピークとは別の保持時間にPEGとともに安定化されて溶出されることを見出した。加えて、そのGPC溶出液を回収し、フリーなPEGを除く操作を十分に行った後にPEGの存在をELISAにて確認すると抗体上にPEGが見出された。このことにより、濃厚なPEG溶液を曝露することで、抗体の構造変化が誘起されたのではないかと考えられた。一方、分子量12kの低親和性PEGをin vivoにおいて投与し、その後、高い免疫原性を有するPEG抗原を投与した後に、PEGに対する抗体産生量を比較したところ、予想とは逆に、低投与量の低親和性PEG投与によってその抗体産生が低くなることが見出された。この予想とは逆の興味深い現象については今後精査する必要がある。
|