2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K19904
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
石原 伸輔 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主幹研究員 (30644067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣花 学 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20274897)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 一酸化窒素 / 層状複水酸化物 / 副鼻腔 / 生理活性ガス / 感染症 / 血管拡張 |
Outline of Annual Research Achievements |
一酸化窒素ガス(NO)は体内で産生されて、血管拡張や殺菌、シグナル伝達など様々な生理活性に関与している。特に、副鼻腔においてはNOが活発に産生されていることが知られており、 鼻呼吸によって鼻~喉~気道~肺へとNOが供給されて、平滑筋弛緩・血管拡張・呼吸器経路の殺菌などに寄与していると考えられている。一方、人工鼻という医療機器が既に実用化されており、これは鼻の機能を模して、吸気する大気を簡易的に加湿保温することのできるデバイスであり、人工呼吸器や気管切開を行った患者にとって必要不可欠なものとなっている。本研究では、副鼻腔の機能のひとつであるNO供給能を模した「人工副鼻腔」を創生し、微量のNOのデリバリーによって心肺機能の増強や、感染症予防を実現することを目的とする。具体的には、申請者が先鞭をつけた、二酸化炭素や水蒸気に応答してNOを徐放する固体材料(Ishihara and Iyi, Nat. Commun. 2020)を搭載した小型デバイスによって、呼吸ガス内に微量のNOを供給できるデバイスを開発する。これにより、慢性呼吸不全や感染症対策における新たな呼吸管理のパラダイムの構築を目指す。本年度は、呼気に含まれる二酸化炭素を用いて、数十ppmのNOを1週間以上供給できる小型デバイスを開発した。これは慢性肺高血圧の緩和に十分なNO濃度であり、医療応用が期待される。また、更なる小型化を目指して、水蒸気を刺激として高濃度のNOを発生するNO発生剤の改良にも取り組み、既報の約10倍のNOを発生させることにも成功した。高濃度NOには殺菌、抗ウィルス効果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デバイスの試作や、NO発生剤の改良に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マスク状のデバイスなどを構築し、「人工副鼻腔」の具現化を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナを懸念して旅費を使用しなかったことや、人件費が運営交付金などから充当できたことで次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせた額については、NO発生材の量産化や小型デバイス化のために使用する。
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