2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K19912
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
生嶋 健司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20334302)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 医工学 / 超音波 / 音響誘起電磁法 / 圧電効果 / コラーゲン / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、音響誘起電磁法(ASEM法)を用いて、骨コラーゲンの結晶性(配向性)を非侵襲に評価する“骨質”センシングを実現することである。ASEM法は、対象物の圧電性を通して、超音波(音圧)によって誘起される電気分極(圧電分極)を検出し、超音波走査によりその分極の空間分布を画像化する手法である。骨の圧電性は一軸配向したコラーゲン線維に由来しているため、非破壊・非脱灰に骨コラーゲン線維を評価できる。本研究では、骨粗鬆症に着目し、骨コラーゲンの健全性(線維構造と力学特性)と圧電性との相関を明らかにし、骨質のin-vivo評価に挑戦する。 2022年度では、ラット大腿骨の骨粗鬆症モデル(膝関節不動化モデルおよび糖尿病モデル)を用いて、健全骨と疾患骨におけるASEM信号強度(圧電分極)を比較した。特に骨幹端部において有意差をもってASEM信号が減少することが見出された。また、骨の圧電分極の異方性を検出する手法を開発し、線維構造に起因する異方性を示すことが明らかにされた。このことは、ASEM信号の大きさや向きから骨コラーゲンの配向性を評価できることを示唆する。一方、動物in-vivo実験やヒト測定を可能とするアレイプローブを用いた測定系の開発に取り組み、ヒト体内における圧電分極の画像化に成功した。 2023年度では、昨年比較検証をした健全骨と疾患骨について、μCTを用いた骨密度測定および3点曲げによる強度試験、および脱灰骨での統計有意差の確認を行った。論文を執筆し、現在投稿中である。また、腱や筋組織などの軟部組織における圧電異方性も確認した。この軟部組織の研究は、USE2023にて奨励賞を受賞し、学術論文として発表した。一方、アレイプローブを用いたヒト体内の骨や腱の圧電画像化に成功し、異方性の確認を行った。ヒト測定の成果発表は、2023年超音波医学会にて奨励賞を受賞している
|