2022 Fiscal Year Research-status Report
脳疾患治療を実現するミトコンドリア標的型ナノカプセルの開発
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22K19928
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 勇磨 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (60451431)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 薬物送達システム / ミトコンドリア / 脳疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳機能障害を主訴とする種々の疾患を治療するためには、治療分子を脳組織への分布、標的細胞への導入、標的オルガネラへの送達を可能とする分子送達技術が必要不可欠である。脳には脳血液脳関門が存在するため、静脈投与経路では低分子であっても脳への移行性は極めて低い。 本申請研究では、脳疾患治療を実現するミトコンドリア標的型ナノカプセルの開発を到達目標とし、疾患モデルマウスから単離・精製した疾患モデル細胞をターゲットとし、1. 脳神経細胞標的型MITO-Porterの構築、2. 新規ルートを介した脳組織への分布の最適化、3. 虚血脳モデル動物を用いた治療効果の検証の順に研究を進める。2022年度は、1. 脳神経細胞標的型MITO-Porterの構築について、(1) 脳神経細胞膜と親和性の高い組成の探索、および(2)ミトコンドリア移行能・融合能の付加を中心に下記に記載した計画で研究を進めた。 (1) 脳神経細胞膜と親和性の高い組成の探索: ナノカプセル材料として脳神経細胞膜と親和性の高い組成を探索した。脳神経細胞に、蛍光標識を施したナノカプセルを添加しその取り込み能をフローサイトメーター (FACS)を利用して評価し、細胞導入に最適な組成を探索した。 (2) ミトコンドリア移行能・融合能の付加: ミトコンドリア移行能を有する機能素子をナノカプセル表面に配置した脳・神経細胞標的型MITO-Porterを構築した。細胞内動態観察 (蛍光顕微鏡)を行い、MITO-Porterのミトコンドリア移行能を最適化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 脳神経細胞膜と親和性の高い組成の探索および(2) ミトコンドリア移行能・融合能の付加に取り組み、『脳神経細胞標的型MITO-Porterの構築』に成功した。ここまでに示した内容は2022年度に計画した全ての研究内容が網羅されており、研究の目的を達成する多くの成果を得ることができた。本研究に関連する原著論文も受理されている。 以上より、現在までの達成度は『おおむね順調に進展している』と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、『脳・神経系を標的とした投与ルートの検証』を中心に1. 髄腔投与ルートを介した送達の検証および2. 初代培養神経系を用いたナノカプセルの動態解析について、下記に記載した計画で研究を進める予定である。
1. 髄腔投与ルートを介した送達の検証: マウス(またはラット)髄腔中にナノカプセルを投与し、脳への集積・神経細胞へのナノカプセル送達を試みる。ナノカプセルの髄腔液・脳組織分布はin vivoイメージング法を用いて解析し、ナノカプセルの最適化を図る。
2. 初代培養神経系を用いたナノカプセルの動態解析: 初代培養神経系を用いたナノカプセルの動態解析を進める。神経系に、蛍光標識を施したナノカプセルを添加しその取り込み能をフローサイトメーター (FACS)を利用して評価し、細胞導入に最適な組成を探索する。さらに、神経系内動態観察 (蛍光顕微鏡)を行い、ナノカプセルの動態の最適化を図る。
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Causes of Carryover |
昨年度中に動物実験の準備を進める予定で予算を計上していたが、今年度から動物実験の準備に着手することにしたため次年度使用額が生じた。施設の動物舎、研究室の動物室の使用状況を考慮し今年度から動物実験の準備も進めることとした。
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Research Products
(6 results)