2022 Fiscal Year Research-status Report
分子振動共鳴による光音響イメージングの高コントラスト化
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22K19937
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山岡 禎久 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (80405274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 真敏 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (60706951)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 光音響顕微鏡 / フェムト秒パルスレーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,組織や細胞を可視化する方法の一つとして,蛍光イメージングが頻繁に利用されている.蛍光分子の励起波長と蛍光波長の適切な選択により,高いコントラストで観察したい分子を可視化することができる.しかしながら,光は生体によって散乱されるため,生体深部組織やスフェロイドのような立体構造を持つ細胞の集合体の内部観察は困難である.その問題を解決するために,近年光音響イメージングに注目が集まっているが,得られる光音響画像のコントラストは,任意の分子を対象とした場合,十分であるとは言い難い.本研究では,光音響イメージングにおいても,励起波長選択だけでなく,光音響波の周波数選択も加えた分子抽出法を提案し,蛍光イメージングと同等の分子コントラストまで光音響イメージングのコントラストを向上させることが目的である. 本年度はフェムト秒光パルスによる光音響波の発生に関する評価を行った.一般的に光音響イメージングの励起光には,ナノ秒光パルスが用いられる.今回の使用予定のフェムト秒光パルスのパルスエネルギーはナノ秒光パルスよりも数桁低いため,解析に十分な光音響波を得るためには,光音響信号の平均化を行う,あるいは,励起光を変調することにより光音響信号の検出感度を向上させる必要がある.本年度,変調フェムト秒光パルス列により発生する光音響波を検出し,基本的な励起光強度依存性,励起波長依存性などの評価を行い,フェムト秒光パルスにより光音響波発生を確認した.来年度から,パルスピッカーによりパルスを間引き,平均化を行うことにより光音響信号の検出感度を向上させ,周波数選択も加えた分子抽出法を開発していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属が変更となり,装置の移設が必要となり,その準備のため実験できない期間ができてしまったため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては,フェムト秒パルスレーザーからの光パルス列をパルスピッカーを用いて制御して照射する光音響波測定システムを構築する,その際,発生する光音響信号波形を正確に評価することが重要であるため,広帯域で校正された音響トランスデューサを用いて,その発生光音響波を詳細に評価する.構築した光音響波測定システムを用いて,様々な分子や試薬に対して光音響信号の測定および解析を行う.その結果をもとに,測定対象として最適な分子を選定し,選択的光音響波検出の可能性を評価していく予定である.
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Causes of Carryover |
既存の装置や消耗品を用いて行う実験に時間が少しかかってしまったため. また,所属が変更となったため装置の移設が必要となり,その準備のため実験できない期間ができてしまったため.
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Research Products
(5 results)