2022 Fiscal Year Research-status Report
DfMRIに基づく匂い応答の脳活性化パターン解析:嗅覚障害の改善に向けて
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22K19938
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
寺沢 宏明 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (10300956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉永 壮佐 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 講師 (00448515)
武田 光広 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (90508558)
釣木澤 朋和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (10716210)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | DfMRI / 嗅覚 / 脳・神経 / 拡散 / 機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
匂い物質は、固有の脳神経回路を活性化し、行動・情動・生理変化を誘導する。どの匂い物質が、どの脳領域を活性化するかというパターンを明らかにできれば、匂いー脳活性化パターンー行動・情動・生理変化の三者の対応付けが可能となる。対応付けにおいては、どの脳領域が活性化されるのかを、高い空間分解能に基づいて、正確に同定する必要がある。生体において脳の活性化領域を調べる最も有効な手法に、機能的MRI(fMRI)がある。一般的なBOLD法では、神経発火にともなって生じる、毛細血管網における血流増大による磁場変化を捉える。しかし、神経発火以外に麻酔や飲酒等による血管の拡張・収縮の要因がある場合、MR信号が神経発火と相関せず、活性化部位の同定が困難になる。 一方、近年、研究分担者らは、活性化にともなう神経細胞の膨潤を、水の拡散のしやすさに基づいて捉える DfMRI(Diffusion fMRI)法を開発した。神経細胞そのものを観測するため、BOLD 法で懸念される神経発火以外の要因にとらわれず、活性化部位を正確に同定できる。また、MR信号応答が速く、定常状態に戻るのが早い。 本課題は、匂いー脳活性化パターンー行動・情動・生理変化の対応付けを念頭におき、匂い刺激によるマウスの脳活性化部位を DfMRI 法にて正確に同定するシステム構築を目的とする。 本年度は、DfMRI 法を利用するための研究環境を整備した。確立済みであるコンピュータプログラム制御の匂い曝露装置を用いて高精度で周期的に嗅覚刺激を与え、独立成分解析を組み合わせることにより、嗅覚応答を解析する条件の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた通りに、DfMRI法を利用するための研究環境を整備した。確立済みであるコンピュータプログラム制御の匂い曝露装置による嗅覚刺激と独立成分解析を組み合わせることにより、嗅覚応答を解析する条件の検討を進めることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に条件検討した結果を踏まえて、実際に、匂い物質やフェロモンによる嗅覚応答の解析を進める。また、より多くの時空間情報を得るために、従来法であるBOLD法と今回導入したDfMRI法で得られるデータを比較し、互いの長所を見極めて、嗅覚応答データを集積する。
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Causes of Carryover |
今年度は、MRI撮像環境の構築に特化した傾向にあったため、匂い物質やフェロモンの調製・調達が、少し、次年度へ予定がずれ込んでいる。また、研究打合せについて、コロナウイルスの蔓延により、共同研究先にて実施することができず、簡易的にウェブミーティングにより実施した。そのため、国内旅費に相当する次年度使用額が生じたが、次年度以降に、詳細な研究打合せを実施する際に、使用する予定である。
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