2022 Fiscal Year Research-status Report
ヘモグロビンを基盤とした次世代型高感度ナノMRI造影剤の開発
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22K19942
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田口 和明 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 准教授 (90621912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 宏水 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70318830)
住吉 晃 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主任研究員 (80612530)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | メトヘモグロビン / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、メトヘモグロビンの磁気共鳴イメージング (MRI) 検査用造影剤としてのproof of concept (POC; 概念実証) を得て、安全性と汎用性を両立したメトヘモグロビンを基盤とした全身MRI検査用造影剤を開発することを目的とする。2022年度には、メトヘモグロビンをリポソームに高濃度に封入したmetHb@Lipoを創製して、MRI造影効果をin vitroおよびin vivoで評価した。まず、混錬法により作製したヘモグロビン内封リポソーム (Hb@Lipo) に亜硝酸ナトリウムを添加することでmetHb@Lipoを作製し、物理化学特性 (粒子径、多分散指数、ζ-電位など) 及びリポソームの形状を動的光散乱法と透過型電子顕微鏡法によってそれぞれ評価した。その結果、metHb@Lipoは、粒子径が約200 nmの負電荷を帯びた球状のリポソームであった。また、正常細胞 (PC12細胞) を用いた細胞毒性評価や健常マウスを用いた安全性評価 (生化学パラメータ及び組織染色など) において、metHb@Lipoが有害作用を示す結果は得られなかった。そこで次に、メトヘモグロビン濃度依存的にmetHb@LipoのMRI緩和度 (縦緩和能と横緩和能) をin vitroで評価したところ、metHb@Lipoは陰性造影剤と同様の緩和能を示し、陰性造影剤として機能する可能性が明らかとなった。さらに、健常マウスにmetHb@Lipoを静脈内投与した後に全身MRI画像を取得したところ、心臓や下腹大腿動脈などの比較的に血流の多い部位において強いシグナルが検出された。以上の結果より、metHb@Lipoは血管造影剤として使用できる可能性が示され、メトヘモグロビンの全身MRI検査用造影剤としてのPOCを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メトヘモグロビンの磁気共鳴イメージング (MRI) 検査用造影剤としてのproof of concept (POC; 概念実証) を得ることができており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞モデルラットや担癌モデルマウスを用いてmetHb@Lipoが脳血造影剤や腫瘍造影剤として利用できるか検証する。また、現行の全身MRI用造影剤が禁忌である腎不全時における安全性を検証するため、5/6腎臓摘出 (慢性腎不全) モデルマウスを用いた安全性評価及び生体蓄積性評価も実施する。
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Causes of Carryover |
2022年度に5/6腎臓摘出 (慢性腎不全) モデルマウスを用いた安全性試験を予定していたが予算と検討可能日数が足りず、次年度の予算と合算して実施することとしたため、次年度使用額が生じた。2023年度に予定通り、5/6腎臓摘出 (慢性腎不全) モデルマウスを用いた検討を開始している。
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