2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the emergence mechanism of heterogeneity by glioma stem cells for a breakthrough cancer treatment strategy
Project/Area Number |
22K19943
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
須藤 亮 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (20407141)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 不均一性 / グリオーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究では、引き続き不均一性を出現させる因子の特定に取り組んだ。すなわち、グリオーマ幹細胞による不均一性出現メカニズムにはTGF-β受容体を介したシグナル伝達が重要であることまでは明らかになっているため、TGF-β受容体のリガンドとしてグリオーマ幹細胞が何を分泌しているのかという点について調べた。TGF-β受容体阻害剤として用いたSB431542には、TGF-β受容体であるALK4、ALK5、ALK7を阻害する効果がある。したがって、これら3つの受容体のうち、どれがグリオーマ幹細胞の分化に重要な役割を果たしているかという点について調べた。まず、siRNAを用いてグリオーマ幹細胞におけるALK4、ALK5、ALK7の発現を個別に阻害し、グリオーマ幹細胞の分化に与える影響を調べた。その結果、ALK4を阻害した場合に、浸潤後方におけるグリオーマ幹細胞において分化マーカーの発現が減少した。一方で、ALK5およびALK7を阻害した時には分化マーカーの発現に大きな変化がなかった。さらに、siRNA以外の方法でALK5を阻害する方法として阻害剤を用いた方法を検討した。ALK5のみを阻害する試薬はなかったが、ALK4およびALK5を阻害する試薬が見つかった。この阻害剤を添加すると、浸潤後方におけるグリオーマ幹細胞において分化マーカーの発現が顕著に減少した。ALK5はsiRNAを用いた阻害実験では、グリオーマ幹細胞の分化マーカーの発現に影響を与えなかったことから、ALK4が阻害されたことによって浸潤後方におけるグリオーマ幹細胞において分化マーカーの発現が顕著に減少した可能性が高いと考えられる。以上より、TGF-β受容体のリガンドとしてグリオーマ幹細胞が分泌している因子は、ALK4のリガンドであることを見出した。
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