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2022 Fiscal Year Research-status Report

"Uncorruptible Body of Christ" in Syro-Armenian Christological Controversies

Research Project

Project/Area Number 22K19952
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

浜田 華練  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70964469)

Project Period (FY) 2022-08-31 – 2024-03-31
Keywordsアルメニア教会 / シリア正教会 / 東方キリスト教 / キリスト論 / 非カルケドン派
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、非カルケドン派諸教会、特にアルメニア教会・シリア正教会の間で生じた神学論争における争点の一つである「キリストの肉体の不朽性」という神学的主題の研究を通じて、東方キリスト教における人間観の発展の過程を明らかにすることを目指す。初年次にあたる2022年度は、研究環境の整備と先行研究のとりまとめを進めながら、「キリストの肉体の不朽性」めぐって12世紀後半にアルメニア教会・シリア正教会間で生じた神学論争の内容を、当時のアルメニ教会指導者であったネルセス・シュノルハリ(1173年没)の書簡と、シリア側の論客であった神学者ディオニュシオス・バル・サリービー(1171年没)の著作『アルメニア人駁論』に基づいて再構築することを試みた。この成果の一部は、2022年7月にパリのフランス国立東洋言語文化学院(INALCO)で開催された第13回シリア学大会(XIIIe Symposium Syriacum)での口頭発表に反映されている。
年度の後半は、アルメニア教会において「キリストの肉体の不朽性」が正統教義に組み込まれた過程を明らかにするために、7世紀から8世紀に書かれたアルメニア語神学書の分析を進め、現在もその作業が進行中である。当初の計画では、2023年2月にオンラインで国際ワークショップを開催する予定だったが、共催者の意向により、オンラインではなく対面での実施を目指すことになり、それに伴い実施時期が2024年2月に延期された。2023年3月のアルメニア出張では、メスロプ・マシュトツ文書館(マテナダラン)において写本資料の閲覧を行うとともに、ワークショップの共催者である同施設の研究員と、2024年のワークショップ開催に向けての打ち合わせを実施した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2023年にアルメニア古典叢書(Matenagrik' Hayots')の最新巻にあたる第22巻が刊行された。本研究の主要文献であるネルセス・シュノルハリの書簡の新校訂版がそこに収録されており、それに基づいて研究をアップデートする必要が生じた。そのことによって進行に遅れが生じたものの、研究の精度は高まった。また、アルメニア古典叢書第22巻にはこれまで刊本が存在しなかったテキストも含まれており、それらが本研究とどのように関連しうるかについても現在検討中である。

Strategy for Future Research Activity

現時点では、12世紀のアルメニア教会における「キリストの肉体の不朽性」という神学的主題の発展については、かなりの程度明らかになっている。この成果に関しては、2023年6月にメスロプ・マシュトツ文書館(マテナダラン)で開催される国際学会での発表を予定している。今後の課題としては、以下の二点が挙げられる。(1)「キリストの肉体の不朽性」という神学的主題がアルメニア教会において正統教義として確立されるに至った課程を明らかにする。(2)アルメニア教会と異なり「キリスト肉体の不朽性」が正統教義として取り入れられなかったシリア正教会において、この神学的主題をめぐってどのような議論が展開されてきたのかを明らかにする。この二つの課題のうち、(1)はすでに着手しており、順調に進んでいる。
本研究の最終的な成果は、2024年3月に開催予定の国際ワークショップでその一部を発表するとともに、現在執筆を進めている英語論文においてまとめる予定である。なお、この英語論文は2024年11月にBrill社のEastern Christian Cultures in Contactシリーズから刊行予定の論文集に掲載される見込みである。

  • Research Products

    (5 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Invited: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] An Armenian Manuscript in Japan2022

    • Author(s)
      Karen Hamada
    • Journal Title

      Arevelaasiakan gitut'yunner (Eastern Asian Studies)

      Volume: 5 Pages: 58-63

  • [Presentation] セルギウスから聖サルキスへー12 世紀アルメニア教会における聖人伝の受容2022

    • Author(s)
      浜田華練
    • Organizer
      第22回東方キリスト教学会大会
  • [Presentation] An Armenian Manuscript in Japan2022

    • Author(s)
      Karen Hamada
    • Organizer
      International conference “Armenia-Japan: Past, Present and Perspectives of Future”
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] Syriac Hagiographies ‘Translated’ by Nerses Shnorhali: Syro-Armenian Cultural Interactions and Development of Armenian Literature in the 12th Century2022

    • Author(s)
      Karen Hamada
    • Organizer
      XIIIe Symposium Syriacum et XIe Congres d'etudes arabes chretiennes
    • Int'l Joint Research
  • [Book] 東方キリスト教の世界(ちくま学芸文庫)2022

    • Author(s)
      森安達也、浜田華練(文庫版解説)
    • Total Pages
      416
    • Publisher
      筑摩書房
    • ISBN
      9784480511409

URL: 

Published: 2023-12-25  

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