2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Research on the Cooperation of Philosophy and Natural Science in Germany from 19th to early 20th Century
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22K19980
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Research Institution | National Institute of Technology(KOSEN),Numazu College |
Principal Investigator |
太田 匡洋 沼津工業高等専門学校, 教養科, 准教授 (20964901)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | J.F.フリース / フリース学派 / 新フリース学派 / E.F.アーペルト / レオナルト・.ネルゾン / パウル・ベルナイス / 哲学方法論 / 超越論哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主要な実績は、単著Confronting the German Idealist Tradition (Routledge, 2023) の出版である。近代ドイツの哲学的活動は、古代ギリシャのタレス以来の哲学史の一つのピークをなしている。本書は、19世紀ドイツ哲学の通俗的なイメージを再考することを目指すものであり、「ドイツ観念論」と同時代に存在した、忘却された系譜の存在に光を当てるものである。 この観点から本書は、ヘーゲルと同時代に、ヘーゲルと敵対していた、ヤーコプ・フリードリヒ・フリースの哲学を再検討するものである。フリースの立場を検討することによって、本書では19世紀ドイツ哲学の見取り図を刷新することを試みた。19世紀から20世紀にかけては、カント・フィヒテ・シェリング以外の哲学者、とりわけフリースが、哲学史に対する重大な影響力を有しており、ヘーゲルによって作られた哲学史記述とは異なる系譜を構成している。その意味では、従来の哲学史記述は、フリースの影響史の隠ぺいの歴史であったともいえるかもしれない。このような観点に立つことによって、本書ではフリースの哲学および、アーペルトによって確立されたフリース学派、ネルゾンによって形成された新フリース学派の哲学の内実を明らかにする。このアプローチは、カントからドイツ観念論を経て新カント派へといたる哲学史記述の表面性を明らかにするとともに、ドイツ哲学の内実を解明するための新たな観点を導入するものでもある。 本書については、各所で一定の評価を得ているほか、書評の依頼を行っている最中であり、今後の学会的な評価を待つ状況となっている。
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Research Products
(7 results)