2023 Fiscal Year Annual Research Report
Semantic function of the Ainu aspectual forms from a Chinese perspective
Project/Area Number |
22K19983
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
馬 長城 北海道大学, 文学研究院, 専門研究員 (30963467)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | アイヌ語 / 継続形式 / 完了形式 / 意味機能 / 時間副詞 / 発話時 / 不定時 / 絶対時 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度には、中国語で継続形式と完了形式が共起しないという現象からヒントを得て、アイヌ語の継続形式「kor an」、「wa an」と完了形式「a」が共起する意味について記述した。アイヌ語の「kor an a」は主体動作動詞と共起する場合:1、発話時まで続き、発話以後も続く可能性がある継続動作;2、最近の活動;3、個々の時間幅のある継続動作からなる習慣;4、点として捉えられる継続動作からなる習慣を表す。「kor an a」は主体変化動詞、客体変化動詞と共起する場合、限界のある過程として捉えられる。一方、「wa an a」は状態動詞、主体変化動詞、客体変化動詞と共起する場合、それぞれ「その状態が発話時点まで続いていること」、「最近の状態」、「その変化の継続結果が発話現在において鮮明に残っていること」を表す。 2023年度には、アイヌ語と同様に、テンスを持たない中国語で時間副詞が数多く存在することからヒントを得て、アイヌ語の時点を表す時間副詞に焦点を当て、その記述を行った。アイヌ語の時点を表す時間副詞には、「発話時を基準とする時間副詞」、「不定時を基準とする時間副詞」、「絶対的時点の時間副詞」の三種類が存在する。発話時以前を表す時間副詞は経歴と経験を表すことが多く、発話時以降を表す時間副詞は命令と禁止と共起することが多い。「絶対的時点の時間副詞」については、日本語のような暦法的な副詞は少ないが、時間軸で一定の間隔をおいて繰り返し現れる時間副詞は数多く存在する。 以上の研究成果はすべて学会で発表し、また論文として学術雑誌に投稿した。これらの論文で取り扱った内容はアイヌ語の時間表現の実態を反映しているため、アイヌ語の活性化に関連する取り組みに役立つかと思われる。今後も引き続き、中国語の視点からアイヌ語を観察し、さらに多くの言語事実を明らかにし、アイヌ語の活性化に貢献していきたい。
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