2022 Fiscal Year Research-status Report
ペルシア詩における比喩の意味連関をめぐる基礎的研究
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22K19992
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 菜穂 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 助教 (40964995)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | ペルシア文学 / 詩的形象 / 比喩 / イラン現代詩 / 修辞学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、主として本研究の中心的課題であるM.R. シャフィーイー・キャドキャニー著『ペルシア詩における詩的形象』(Sovar-e khiyal dar she’r-e farsi、以下『詩的形象』と略記)の読解および内容に関する資料作成を行なった。以下に概要を記す。 ・研究会の開催:研究を進めるにあたって、当該分野に関する知見をもつ研究者・大学院生数名の協力を仰ぎ、年度内に計4回の研究会を開催した。各回では同書における専門用語の解釈や訳語の検討を行なった。 ・学会での報告:10月末に行われた第64回オリエント学会で「モハンマド・タギー・バハールにおけるサブク概念の検討」と題し、報告を行なった。そのなかで、『詩的形象』に影響を与えたと考えられる、近代イランの文学者バハールの『文体論』(Sabk-shenasi)におけるキーワード「サブク」が、ヨーロッパにおける「文体」(Style)を念頭に置きつつ、イランの文学的伝統との接合を目指したものであると同時に、文学史に対する批評的視点を含むものでもある点を明らかにした。 ・現地調査:3月上旬、イランに滞在し、資料収集および近年の文学状況に関する調査を行なった。特に、現地の文学研究者に面会し、最近の研究について伺い、本研究に関する示唆を得た。それらの現地調査で得られた成果をもとに、本研究の概要および現代詩に関する近年の動向について、3月末にアジア・アフリカ言語文化研究所で開催されたイラン研究会で報告を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『詩的形象』の読解および訳文・資料作成に関しては、当初目標とした頁数には達していないものの、同書で扱われている分野や問題系の広さを考慮し、なるべく細部を注視して訳読と基礎研究を進めており、本研究全体の進み方としては順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って、引き続き『詩的形象』の読解、訳文・資料作成を継続する。また、本研究に関わる研究会の開催のほか、年度末の報告に備え、研究ノートの執筆を進める。
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Causes of Carryover |
海外渡航の際私用が重なったため、国外旅費の支出が少なくて済んだこと、また資料収集に関してさらなる調査を要したことから購入を控えた分があったため、次年度使用額が生じた。次年度の研究会開催費用および資料収集のための物品費および旅費に充当する計画である。
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