2023 Fiscal Year Annual Research Report
ペルシア詩における比喩の意味連関をめぐる基礎的研究
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22K19992
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 菜穂 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 講師 (40964995)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | ペルシア詩 / 詩的形象 / 比喩 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、前年度に引き続き、M.R.シャフィーイー・キャドキャニー著『ペルシア詩における詩的形象』の読解と分析を行い、定期的な研究会を開催した。8月には、大阪大学にて、ペルシア語古典文学研究者サラ・サイーディー氏を招いて、イランにおけるイスラーム修辞学の展開をテーマとする講演会を開催した。また、2024年3月に現地調査・資料収集を行い、現地の研究者に面会し、近年のペルシア文学の研究状況に関する知見を得た。それらの成果に関して、3月末のイラン研究会にて報告を行った。 本研究の全体を通して、得られた成果は下記のとおりである。 第一に、課題とする研究書の読解・翻訳および内容の検討を通じて、ペルシア語古典定型詩の創作にイスラーム修辞学の諸概念が及ぼした影響について、ある程度の理解を得ることができた。全体として、この分野に関わるアラビア語の著作は膨大であるが、ペルシア語文学独自の展開についても徐々に明らかとなっており、この点は今後の研究の足掛かりとなる。第二に、当初の目標であった関連文献の収集、整理に関しては、本研究を通じて順調に進めることができた。資料に関しては未入手のものもあるが、基礎文献に関する情報は整理することができた。第三に、サイーディー氏の協力を得て、古典韻文作品の読解を行い、研究テーマであるペルシア語の詩的形象の、実際の用法に関して、多くの示唆を得ることができた。 まとめとして、現在、上記の研究成果をふまえた論文の執筆に取り組んでいるが、ペルシア語の詩的言語の展開に関して、さらなる調査・研究が必要であり、今後の課題としたい。また、訳稿に関しては、将来的な出版を目指し、引き続き読解と分析を継続していく予定である。
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