2023 Fiscal Year Annual Research Report
CP領域の階層性と文末形式の多様性に関する理論的研究
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22K19993
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
森山 倭成 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (00967755)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | CP / 「ではないか」構文 / コピュラ / 「かどうか」 / 「のだ」文 / 右方周縁部 / 統語変化 / 等位接続構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の「CP領域の階層性と文末形式の多様性に関する理論的研究」は本年度が最終年度にあたる。本研究の目的は,日本語のデータに動機付けられた新たな分離CP仮説を提案し,多様に存在している文末形式の文法特性を究明することである。本年度は,3階建ての分離CP仮説に基づいて,「ではないか」構文の統語特性を明らかにしたことに加えて,「じゃん」や「やん」のような「ではないか」構文の変異形が上方再分析 (upward reanalysis)と呼ばれる統語変化によって生じた文法形式であることを突き止めた。この内容をまとめた学術論文は次年度以降に出版予定の書籍に掲載されることになっている。統語変化に関しては,「ではないか」構文以外にも終助詞「っけ」などについて考察を加えた。神戸大学言語学研究室年末研究発表会にてその内容を発表し,研究者と意見交換をした。次年度以降も統語変化(とりわけ上方再分析)に関する研究を継続することを計画している。また,昨年度に関西言語学会にて研究発表を行ったコピュラの構造位置についての学術論文が査読を経てKLS Selected Papers 6 に掲載された。加えて,埋め込み節を導入する「かどうか」についても新たな言語事実を発掘することができた。「かどうか」は単一の補文標識ではなく,等位接続構造を有していることをいくつかの経験的事実に即して示した。この内容については,日本言語学会第167回大会にてポスター発表を行った。以上のように,最終年度にあたる本年度では,2年間の研究成果を取りまとめ,研究内容の発信を行った。
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