2022 Fiscal Year Research-status Report
音響学的アプローチによる韓国語破裂子音の知覚学習法とその神経生理学的評価
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22K19996
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
成 儒彬 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (30968326)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 韓国語 / 破裂子音 / 日本語母語話者 / 知覚訓練 / 脳波 / 韓国語母語話者 / 基本周波数 / 神経振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、声の高さに注目する知覚訓練を行うことで、日本語母語話者が後続母音の基本周波数が異なる韓国語破裂子音の聴き分けをより効果的に習得できるかを、聴き分けの成績の変化と脳波の変化に基づいて評価することを目的としている。2022年度は、①本研究に関連する論文の執筆や②倫理審査書類の作成、③実験実施環境の再検討を行った。 ①本研究に関連する論文として、破裂子音に対する韓国語母語話者の知覚を日本語母語話者との比較を通じて検討した論文を査読付き国際英文誌のAcoustical Science and Technologyで公表した。この論文では、類似していると感じる自然音声同士を対応づける課題を韓国語母語話者と日本語母語話者に実施した結果、日本語母語話者とは異なり韓国語母語話者では課題の判断において後続母音の基本周波数の単独の効果が見られたことを報告している。韓国語母語話者の発声的特徴に加えて、知覚的特徴の観点からも、韓国語の破裂子音の習得には後続母音の基本周波数を弁別の手がかりとして利用する能力を習得することが重要であると考えられる。 ②知覚訓練と脳波測定を行う本研究の実施にあたり、所属先の九州大学医系地区部局・病院倫理審査委員会の承認を得るために、所属研究室の精神医学の専門家と議論を行いつつ倫理審査書類を作成した。精神医学分野でも訓練を通して脳活動を変化させる研究が行われているため、本研究の結果を言語学習の観点のみならず、精神医学的観点からも考察できるよう文献調査を進めている。 ③本研究では、日本語母語話者と韓国語母語話者のデータを取得し、両話者の脳活動を比較する予定である。当初は病院地区ですべてのデータを取得する予定であったが、留学生の多いキャンパスでデータを取得する可能性ができたため、現地の機材等の実験実施環境の確認を行っている。本研究で用いる音声刺激の準備は完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
投稿論文の査読対応と本研究の倫理審査書類の作成に予定より時間がかかり、データを取得する場所は変更になる可能性が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
データを取得する場所が確定し次第、参加者を募る予定である。本研究の実施について所属先の倫理審査委員会の承認を得ているが、データ取得の場所が変更になった場合は、すみやかに変更申請を行う。データがある程度集まった時点で結果の分析を行い、音声刺激の条件設定が適切であるかを検討しつつ研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
倫理審査書類の作成や実験実施場所の再検討により実験の実施まで予定より時間がかかっているため次年度使用額が生じた。 次年度使用額と翌年分として請求した助成金は、当初の目的通り、主に実験参加者への謝金として使用する予定である。謝金以外についても当初の目的通りに使う計画であるが、必要に応じて、実験参加者の実験参加希望日に随時対応できるよう、実験補助者を雇用するための人件費として適宜使用する予定である。
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