2023 Fiscal Year Annual Research Report
複数のCMCの実証的比較に基づく「打ちことば」概念の有効性の検証
Project/Area Number |
22K19998
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
落合 哉人 東京福祉大学, 教育学部, 助教 (00962226)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 「打ちことば」 / CMC研究 / コーパス / 携帯メール / LINE / Twitter / YouTube / スタンプ |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本研究課題申請当初に計画していたTwitter(実施期間中にXに改名)のデータの収集を進めるとともに、さらなる「打ちことば」概念の有効性検証の糸口としてYouTubeを対象とした研究を行った。 まず、Twitterについては本研究課題採択後のイーロン・マスク氏Twitter社買収に伴う特性の変更により、API等を利用した分析に大きな制約が生じたことから、オフラインでデータ提供者を募ると同時に、オンラインで有効な言語研究を行う方途を模索した。結果、オフラインでの一定のデータ提供を受け付けることができたほか、自らの属性を一般に公開している芸能人等の人物のアカウントをあらかじめ指定することで、特定の属性を持つ話者による投稿を集積する方法を見出すことができた。さらに、直近に収集したデータについて、LINE及び携帯メールのデータと量的に比較し、Computer-Mediated Communication(CMC)の共通性と多様性を具体的に記述することに成功した。 一方、YouTubeについては昨年度の成果としてCMCの分析では、テキストのみならず視覚的要素をはじめとする多様なモダリティのあり方を考慮する必要が見出されたことから、配信者と視聴者で利用可能なモダリティが違うライブストリーミングについて検討した。特に、視聴者との交流それ自体を主眼とする「雑談配信」に着目して配信者が視聴者といかにして交流を達成しているか分析したところ、配信者は「極めて多数の視聴者がいる点」や「発話からその反応までに長いタイムラグが生じる点」といったCMCに特有の制約を抱える一方、特殊な引用表現の利用や隣接ペアの利用といった方略によってそのような制約を克服できることを明らかにした。 研究期間全体を通じて、応募時点に想定していた取り組みを達成できただけでなく、新たな課題を見出すこともできた。
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