2022 Fiscal Year Research-status Report
ロマンス諸語における語源U/Vの非唇歯音化の再解釈
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22K20010
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
三島 庸平 立命館大学, 産業社会学部, 授業担当講師 (30961198)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 語源Fの変化 / 階層理論 / 基層理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、最新の言語変化理論および比較歴史言語学を基盤に、スペイン北部とフランス南部のロマンス諸語における唇歯音 /v/ の不在に関する問題を再解釈することである。2022年9月から2023年3月までの本年度では主に資料収集と、本研究テーマと密接に関係する語源Fの音変化問題と「階層理論」の問題に取り組んだ。 情報交換と研究動向の把握を目的に2022年10月開催の日本イスパニア学会第68回大会に参加した。2022年9月から2023年1月までは、事前に収集していた先行研究と言語資料の整理および分析を進め、同時に必要な資料の情報とフィールドワークの準備を行った。2023年2月2日から同年3月3日の一ヶ月間、スペインでフィールドワークを実施した。フィールドワークでは、スペイン東部と北部を中心に図書館と資料館、博物館を訪れ先行研究や分析に必要な言語資料を収集した。また、研究会への参加や個別の面会をとおして複数の研究者と研究テーマについての意見交換を行い、言語資料に関しても有益な情報を得ることができた。 比較言語学と音声音韻の観点からロマンス諸語の言語資料を分析し、中世初期における語源F音の保持状況を明らかにした。基層言語、傍層言語、上層言語の概念と基層理論の適用条件を見直し、理論的な汎用性を高めるための提案を行った。研究成果はスペイン語と日本語でまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
言語資料の収集は予定よりも遅れているが、他の研究者から資料に関する有益な情報を多く得ることができ、また本研究の基礎を成す語源Fの変化と階層理論に関する問題について成果をまとめることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題は、スペインのロマンス諸語の言語資料の補完を進めつつ、フランス南部のロマンス語の言語資料を収集する。また、これまでに収集した言語資料を基に、研究対象の複数のロマンス語の地域ごとに資料分析を行い、最終的に比較分析を行う。
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Causes of Carryover |
長期の海外出張の精算にあたり、年度を跨いでの処理の必要性が発生したため、用務日毎に2022年度予算で精算できるところまで精算し、残額は次年度請求分と合わせて精算予定である。
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