2022 Fiscal Year Annual Research Report
日本語受身文の誤用メカニズムの究明ー中国語母語話者日本語学習者を対象にー
Project/Area Number |
22K20011
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
任 霞 関西学院大学, 言語コミュニケーション文化研究科, 大学院奨励研究員 (70963825)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2023-03-31
|
Keywords | 受身文 / 存在構文 / 他動詞 / 非対格動詞 / 非能格動詞 / 中国語母語話者日本語学習者 / 誤用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は中国語母語話者日本語学習者の受身文の誤用現象の体系的な解明と誤用メカニズムの一般的な説明を求めるものである。その目的を達成するために、大規模の学習者作文コーパスから受身文の誤用例を2452例抽出し、他動詞、非対格自動詞、非能格自動詞という動詞三分類の説に基づき誤用例を分類し、誤用データの有効性を検証した上に、誤用の傾向とメカニズムを考察した。主に以下の実績がある。 ①2022年度日本語教育と日本学研究国際シンポジウムにて「存在構文における『てある』と『(ら)れている』の誤用に関する一考察」をテーマに、中国語母語話者日本語学習者の作文に観察される「てある」と「(ら)れている」の使用に関する誤用を取り上げ、存在構文における「てある」と「(ら)れている」の相違を明らかにしたうえ、学習者の誤用の要因を分析し、発表した。 ②「YUK作文コーパス」に観察された顕著な誤用パターンを取り上げ、中国語で「日語被動句的偏誤研究」という参考書を作成した。この本では4章53節に分けて学習者の理解しにくい構文の使用条件を明確化させ、中国語の受身文との対応可否について論じた。2023年8月に浙江工商大学出版社により出版される。 ③「日本語受身表現の誤用研究―中国語母語話者日本語学習者を対象に―」を題目に博士学位論文を作成し、2023年3月に博士学位授与申請を提出した。当該論文では動詞の類型と日中両言語の受身の使用における対応・非対応から誤用例を分類・統計し、学習者の誤用の傾向とメカニズムを明らかにした。それから誤用の傾向とメカニズムに基づき、日本語教育における受身表現の指導法について提案を行った。
|
Research Products
(2 results)