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2022 Fiscal Year Research-status Report

「説得」をめぐるパスカルの思想と方法の総合的研究

Research Project

Project/Area Number 22K20038
Research InstitutionOtani University

Principal Investigator

鈴木 真太朗  大谷大学, 文学部, 助教 (40962452)

Project Period (FY) 2022-08-31 – 2024-03-31
Keywordsフランス17世紀文学 / 説得術 / 修辞的技巧 / パスカル / モンテーニュ / ボシュエ
Outline of Annual Research Achievements

当該年度の研究目的は、17世紀フランスを代表する思想家・数学者・物理学者として知られるブレーズ・パスカルの文体を、その代表作として知られる『プロヴァンシアル書簡』(以下『書簡』と略称)と『パンセ』に基づいて考察し、一連の考察から導出された特徴をモンテーニュの『エセー 』の文体と比較することで、〈説得〉に関するパスカルの思想と方法の独自性を明らかにすることにあった。本研究ではとりわけ、『書簡』においてパスカルがいかなる表現様式、またいかなる修辞的技巧を用いていたのかという点が特に注目される。『パンセ』はパスカルが晩年に執筆を企てていたキリスト教に関する著作の遺稿集であるが、パスカルの目標が完遂されていたならば、論証のスタイルとして書簡形式や対話形式が採用されていた可能性が高い。そしてこうした特徴は、パスカルの作品のなかでもとりわけ『書簡』に見られる。ほぼ同時期に執筆された『書簡』と『パンセ』の文体・修辞的技巧の変化を比較するという手法はしたがって、これまで個別的に研究されることが多かった両作品を一貫する説得様式と思想を明らかにする上で、有効なのである。当該年度は『書簡』と『パンセ』の比較研究に取り組み、表現様式・修辞的技巧という観点から、パスカルがいかなる問題意識を抱き、何を考え、どう主張したのかを考察した。その成果をパスカルの文体に多大な影響を与えたモンテーニュと比較し、その関連性を解明すること、そして同時代を生きたボシュエと比較し、同時代的におけるパスカルの思想・方法的独自性を同定することが課題であり、次年度はこの点について考察を進める。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナ禍による渡航制限が少しずつ緩和されてきたことは良い傾向であるが、世界情勢が不安定であることやそれに伴う円安などの影響により、渡航時の滞在日数が当初の予定より短くなり、結果的にフランス国立図書館をはじめとする研究機関での資料調査を予定通り進めることができなかった。また、資料収集についても、上記と同様の理由により、一部の資料については入手できなかった。だがその分、収集した資料の丁寧な読み込みと研究対象作品の読み直しに努め、得られた成果を『プロヴァンシアル書簡』に関する国内の研究会にて複数回発表した。こうした発表に基づく論考の執筆を現在進めており、近々刊行する予定である。

Strategy for Future Research Activity

当該年度の研究はパスカルの作品が中心であった。次年度は、「モンテーニュからの思想・文体的影響」、「同時代のキリスト教護教論者(とりわけボシュエ)の思想・文体との比較」といったテーマへと研究の対象を広げる。またその傍らで、『プロヴァンシアル』と『パンセ』の間に見られる表現様式・思想の変化に関する考察と、モンテーニュ、ボシュエに関する考察の整理・統合を目指す。これを成し遂げるため、フランス国立図書館をはじめとする研究機関にて本研究の遂行に必要な資料の集中的な調査を行うとともに、同じ問題意識を抱えている海外の研究者と議論を重ねていく。とりわけ次年度はパスカル生誕400周年ということで、国内外でさまざまな催しが予定されている。そうした場で本研究の諸成果を積極的に発表するとともに、論文化を目指していきたい。

Causes of Carryover

海外での資料調査および国際学会参加のための旅費および資料購入費として計上していたが、世界情勢が不安定であること及び円安に起因する渡航期間の短縮、購入予定の資料が高騰したことによる購入の見送りなどの理由から次年度繰越使用額が生じた。次年度は、研究対象のパスカル生誕400周年ということで、国内外で複数の学会・研究集会が予定されている。次年度使用額は主に、これらの学会・研究集会参加のための旅費と、昨年度購入できなかった資料の購入に充当する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023 2022

All Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Presentation] パスカルの論述における「笑い」あるいは「嘲笑」 ──『プロヴァンシアル書簡』から『パンセ』へ──2023

    • Author(s)
      鈴木真太朗
    • Organizer
      フランス近世の〈知脈〉第9回研究会(主催:大阪大学 山上浩嗣教授)
    • Invited
  • [Presentation] 先行研究の批判的考察 :《《 Rire des erreurs des hommes 》: Les Provinciales, une comedie ? 》d'Anne Regent-Susini2022

    • Author(s)
      鈴木真太朗
    • Organizer
      Projet Pascal Les Provinciales 2024(PPP 2024)第3回会合(主催:岡山大学 野呂康准教授)
    • Invited

URL: 

Published: 2023-12-25  

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