2022 Fiscal Year Research-status Report
製塩土器からみた5世紀におけるヤマト政権の塩生産・流通体制に関する研究
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22K20066
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
岩崎 郁実 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 技師 (60964715)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 製塩土器 / 古墳時代 / 製塩 / 土器製塩 / 胎土 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、①製塩遺跡の出土資料整理、②集落遺跡出土資料の調査、③近畿地方における出土製塩土器集成、④製塩土器の胎土分析の試験的実施を行った。 ①製塩遺跡(和歌山県西庄遺跡)の出土資料整理 研究の基礎となる、生産遺跡における製塩土器の出土量・型式のバリエーション・編年などのデータを収集するため、月に1度有志での「西庄研究会」を開催して資料整理を行っている。今年度は出土量全体の約半数の資料整理を完了した。 ②集落遺跡で出土した製塩土器の調査 今年度は大阪府・兵庫県の集落遺跡4例を対象に調査を実施し、製塩土器の製作技法の検討・胎土観察および資料化を実施した。同時に、製塩土器の流通圏・流通ルートを明らかにするため、既往の調査で収集したデータを集約している。 ③近畿地方における出土製塩土器集成 製塩土器研究の基礎データとするため、弥生時代~奈良時代を対象に近畿地域における製塩土器出土事例の悉皆的集成作業を実施中である。今年度は、奈良県・和歌山県・兵庫県の集成を完了した。 ④製塩土器胎土分析の試験的実施 奈良県天理市布留遺跡出土の製塩土器について、1)蛍光X線分析装置を用いた胎土分析を試験的に行った。分析結果の検討中であり、有効性が確認できれば今後も継続的に実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
和歌山県西庄遺跡での出土資料整理、出土資料集成作業。胎土分析の実施・結果の検討会は定期的に実施することができており、作業の進捗も良好である。一方で、集落遺跡出土資料の現地調査は十分に行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
①和歌山県での出土資料整理 残り半数の資料について、製塩土器抽出作業・分類作業を進める。 ②集落遺跡出土資料の調査 京都府・大阪府の資料を中心に現地調査を実施する。 ③出土製塩土器集成 京都府・滋賀県・大阪府を対象として集成作業を実施する。 ④製塩土器胎土分析 試料を増やして分析を実施する。
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Causes of Carryover |
県外での実地調査の実施件数が計画よりも少なくなったため。また、必要機材(カメラ等)の購入を行えなかったため。次年度には、計画していた調査を実施することで旅費を使用すること、また計画していた物品の購入を行う。
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Research Products
(1 results)