2023 Fiscal Year Research-status Report
現代ネパールにおける未来予期と災いへの応答に関する研究
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22K20071
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 友香 筑波大学, 人文社会系, 助教 (50962982)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 南アジア地域研究 / ネパール / 食 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画において本年度は、未来予期や災いへの応答の生成・再編について患者たちの態度や実践に関する変化について聞き取り調査を行った。特にCOVID-19感染拡大時に行われた生活・生業の実態について、またそれに伴う食観念や食べ物消費と食べたその先の身体観の変化や拡張について聞き取り調査を行った。 ロックダウン下において食料不足を懸念する動きは、備蓄ではなく増産をもたらしていた。特に調査地域である西部ネパールの地方都市では地鶏の生産と販売の拡大が特徴的な現象として指摘された。地鶏は地域における小規模生産が可能であることもあり食糧危機への対応としての側面を持っていた。地鶏を食肉用として販売するにはある程度の時間が要するが、小さな庭先や田畑、路上等でも飼育が可能であったために小規模飼育・生産が増加したという。さらにそれに加えて地鶏は熱冷理論に基づきその消費がCOVID-19の予防になるとも考えられたことが明らかとなった。主にそうした二つの要因より、飼育・生産が増加したことが明らかとなった。本調査からは、災いに対する応答が一対一対応ではなく、環境・身体・経済が絡まり合う現象として生じており、また災いが去ったと見なされた後の人々の身体観にも部分的に影響を及ぼしていることが明らかとなった。 本研究の成果の一部は、医療社会学会(「食と健康」分科会で)『ネパールにおけるブロイラーと熱/冷理論 』というタイトルで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19が完全に終息したと現地においてみなされており、COVID-19感染拡大時の実践への記憶が薄れつつあり調査計画の部分的修正が必要となったため。また必要な長期調査が十分な期間をもって行うことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、以下の2つについて調査対象を絞って長期調査を行うことを計画する。 第一に、2023年度に計画していた患者への調査を継続する。特に、薬剤利用や食事療法、アーユルヴェーダ等の利用に関する態度の変化について調査を行う。第二に昨年度の調査で明らかとなった地鶏/ブロイラー関係に焦点を当てて、食観念と未来予期の関係から調査を進める。 研究成果については、日本南アジア学会の学会誌への論文投稿と、英語での学会発表を行うことを目標とする。
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Causes of Carryover |
本年度の研究計画にやや遅れが見られ、長期調査に十分に期間を割くことができなかったことにより次年度使用額が生じた。本使用額は、今年度の夏季の長期調査及び、研究発表のための準備及び旅費等に使用する計画である。特に下記の長期調査は、前年度までの調査の捕捉も兼ねており、昨年度実施が困難であった観察調査や行政へのインタビューを行う予定である。研究発表は、京都大学で開催されるヒマーラヤ地域研究会(5月)でこれまでの研究成果を発表することに加え、南アジア学会にて発表することを予定している。
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Research Products
(1 results)