2023 Fiscal Year Annual Research Report
ファッションデザインの保護の現状と在り方―法制度間の役割分担の観点から―
Project/Area Number |
22K20086
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山本 真祐子 群馬大学, 情報学部, 講師 (90965980)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | ファッションデザイン / アパレルデザイン / 衣服デザイン / 知的財産法 / 不正競争防止法 / 著作権法 |
Outline of Annual Research Achievements |
登録なくして3年間の保護が可能であるがゆえに、アパレルデザイン保護に最も相性がよいとされる不正競争防止法2条1項3号による保護について、その保護要件・範囲・期間の在り方にかかる検討を行った。かかる検討にあたっては、イギリスの非登録意匠権との比較検討を行った。アパレルデザインには、季節性や流行性等といった性質に強く影響されるがゆえに、かかる観点に基づくデザイン上の制約が強いという特質があるところ、かような特質を踏まえ、低い保護要件のもと、狭い保護範囲とすべきことを明らかにした。そのうえで、保護期間については、現状よりも実質的保護期間を長くしうる法解釈を提示するとともに、立法論として保護期間伸長の可能性をも示唆するに至った。もっとも、立法論としての保護期間伸長については、意匠法改正等他の代替手段との比較検討をも行う必要があるため、この点は今後の検討課題としている。以上の検討結果は、アパレルデザインの特質を踏まえた法制度の解釈・立法論を展開するものであり、ファッション産業の発展に資するという意義があると考える。 具体的な研究成果としては、まず、出所識別力を備えるに至ったファッションデザインを後追いで保護しうる不正競争防止法2条1項1号の周知商品等表示の使用にかかる規制について、訴訟における商品等表示の特定方法の検討を行い、論文を公表した。また、同規制によるファッションデザイン保護全般にかかる検討ついて、有斐閣Onlineロージャーナルで不定期連載されている座談会において報告を行った。 不正競争防止法2条1項3号のデッドコピー規制の保護の在り方については、前述のとおり、イギリスの非登録意匠権との比較を踏まえた検討を行い、博士論文として提出した。また、博士論文提出後に出された最新の判決についても、判例評釈の執筆・公表を行った。
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