2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K20092
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生田 裕也 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (10962003)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 法律の一般性 / 権力分立 / 法律による計画 / 行政の留保 / 投資措置法律 / 高レベル放射性廃棄物最終処分場立地選定法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①研究課題たる「法律の一般性」に関する研究の前提として必要な研究を行うとともに、②「法律の一般性」に関する研究を推進した。 ①については、2つの研究成果を公表した。1つ目の研究成果は、法学論叢で連載中の「『法律による計画』と権力分立(一)~(三・完)」である。本論文では、再統一後の東西ドイツを結ぶ鉄道路線の一定区間の建設計画の許可を法律形式で行った投資措置法律とその合憲性が争われた連邦憲法裁判所の判例を取り上げつつ、通常であれば行政によって行われるような詳細な計画を議会が法律形式で決定する「法律による計画」の問題について、権力分立原理の観点から分析・検討した。1つ目の続編に位置付けられる2つ目の研究成果は、現代社会研究(京都女子大学)に掲載された「ドイツの高レベル放射性廃棄物最終処分場立地選定法における法律による立地決定とその民主的正統化作用」である。ドイツにおける高レベル放射性廃棄物の最終処分は、立地選定法の定める手続に即して行われるが、同法によれば、最終処分場の立地決定は、連邦議会が制定する法律によって行われる。このような法律による立地決定については、立法権による行政への介入という点において、権力分立上の問題が指摘されており、本論文は、ドイツ憲法学の議論や連邦憲法裁判所の判例を参照しつつ、この問題について検討を行った。以上の2論文では、議会が法律形式で個別具体的な決定を行う事態を題材としており、「法律の一般性」と相容れないこのような問題状況について、ドイツでどのように議論されているかを取り扱った。 ②については、より直接的に「法律の一般性」の問題を扱った。現代のドイツにおいて「法律の一般性」の意義が局限化されている状況について研究を行ったが、本年度中には研究成果を公表するに至らなかった。これについては、今後の公表を予定している。
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