2022 Fiscal Year Research-status Report
警察官権限法制の日韓台3法域における発展過程の比較研究
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22K20098
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
古谷 洋一 日本大学, 危機管理学部, 教授 (60962652)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 警察官権限法制 / 韓国法 / 台湾法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我が国で警察官権限法制の見直しが進んでいない要因について、社会・文化的に日本との共通点が多いにもかかわらず法整備が随時行われている韓国・台湾両法域との違いを分析・比較検証することによって明らかにし、今後の我が国の治安課題や治安行政の在り方に適合した具体的かつ現実的な警察官権限法制の整備に必要な条件を整理し、法制整備のモデルを提示することを目的としている。 令和4年度においては、両法域の警察官権限法(韓国:警察官職務執行法、台湾:警察職権行使法)の制定・改正に係る議会関係資料のほか、関連する学術的論考、学術セミナー資料等を幅広く収集し、立法過程での政治的・法制的議論の状況、これらの法整備に対する学術的観点からの事前事後の評価、未整備部分についての議論等に関する整理・分析を行った(整理・分析については、韓国に係る作業を先行した。)。 その暫定的な成果としては、警察官権限法制の整備に影響を及ぼし得る日韓間の有意な差異たり得るものとして、南北対立に起因する現実の社会状況のほか、〇警察当局及び司法部における法解釈の態度、〇法律事項のとらえ方を始めとする法制実務・文化の在り方、〇議員立法の位置付け及び手続、〇法案形成過程における民意集約の手法、〇国家人権委員会の存在、〇治安立法争点化に対する意識、〇データ保護に対する意識、〇刑事訴訟法体系の違いに由来する警察観、〇学界及び警察部内の警察行政法研究体制、〇外国法研究の実情及びその国内法への影響力、〇学界と実務界との関係等の要素を抽出しており、これらの法制整備への具体的影響の程度等について引き続き分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
韓国では、精神疾患患者放火殺人事件、ストーカー殺人事件等をめぐる警察の不十分な対応を契機として2020年8月に「韓国警察法の最高専門家」とも称される有力な警察行政法学者らによるワーキンググループが概括的授権条項の導入を含む警職法全部改正勧告案を提示して以降、学界のみならず国会議員をも巻き込んで議論が急速に活発化し、本研究の構想当初における想定以上に論点が拡大している。このため、最近における議論の流動・進展についても今しばしフォローする必要があり、当初の計画では、韓国法に関する文献調査は令和4年度中におおむねの整理・分析を終える予定であったが、暫定的な整理・分析にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度においては、引き続き韓国・台湾の文献資料の分析を行うとともに、韓国については、現地に出張して警察大学等同国警察機関の関係者からも意見を聴取して更なる掘り下げを図ることを予定している。その上で、同年度後半において、韓国・台湾両法域の立法事例や現在進行中の議論に照らして、類似の課題に対するこれまでの我が国の対応の実情や法律上の可能性を比較検証し、今後の我が国の治安課題に適合した警察官権限法制整備のための条件及びモデルを考察・提示する。
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Causes of Carryover |
「7.現在までの進捗状況」の理由欄に記載したとおり、現在、韓国では警職法全部改正をめぐる議論が急速に活発化しており、同国の状況の分析に正確を期するためには、当初想定していた過去の法整備(制定、改正)に関する資料に加え、現在進行中の議論に関連して今後随時発表される各種文献資料の入手が不可欠である。次年度使用額については、これら必要な文献資料の購入費用として、オンラインサイトの利用のほか、韓国出張時における現地調達等の方法による関係資料の購入等に充てることを予定している。
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