2024 Fiscal Year Annual Research Report
現代フランスの対外政策における宗教事象の位置付けーライシテ外交を中心にー
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22K20107
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| Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 萌 東北大学, 国際文化研究科, 助教 (70965029)
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| Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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| Keywords | ライシテ / 外交 |
| Outline of Annual Research Achievements |
本年度に進めた研究の目的は、世俗主義を掲げる国家がいかに宗教との関係を新たに築こうとしているのかについて、フランスの政教分離原則ライシテをめぐる政府や地方自治体の活動に着目して検討することであった。本年度は、パリ高等研究実習院およびフランス国立科学研究センターの共同研究ユニット「社会・宗教・ライシテ(GSRL)」研究グループに所属して調査を行った。そこでは主に①外務省付宗教担当参事官に関連する史料収集、聞き取り調査(前年度より継続)、②アンスティテュ・フランセを通じたライシテ外交の実態、③地方自治体におけるライシテ調亭員の活動の実態について調査を進めた。
①については、前任者の外務省付宗教担当参事官に聞き取り調査を実施し、2010年代以降、対外政策においてライシテがどのように取り扱われてきたのかを明らかにした。②については、文化外交を主導するアンスティテュ・フランセ(パリ本部)の関係者に聞き取り調査を実施し、思想や哲学の普及という観点から動員される政教関係に関する言説を整理した。③については、全国のライシテ調停員が集う会合にオブザーバーとして参加し、地方自治体で適用されるライシテ原則の方針について確認した。
本研究では、フランスの政教分離原則であるライシテに着目し、それが宗教と政治の対話を可能にする原則として動員されてきた過程を明らかにしようとした。このような側面は、外務省やアンスティテュ・フランセなどによって対外的に発信される言説において、明確に確認できた。一方、調査を進める中で、フランス国内では対話重視のライシテが積極的に動員されてきたとは言い難く、治安重視かつ宗教制限を志向する原則としてライシテが適用される傾向にある点を改めて確認した。
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