2022 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ沖縄政策に対する仲吉良光の日本復帰運動の影響
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22K20112
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真栄城 拓也 大阪大学, 大学院法学研究科, 招へい研究員 (90966855)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 仲吉良光 / 沖縄返還 / 日米関係 / 脱植民地化 / アメリカ外交 / 国連憲章第78条 / 信託統治 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は仲吉良光の個人文書を所蔵している沖縄県立図書館および那覇市歴史博物館で資料収集を行い、収集した資料の分析を実施した。また、沖縄県公文書館や東京の外交史料館で仲吉に関する資料を追加的に収集し、読解している。
資料分析を通じて、研究代表者が研究開始以前に想定していた以上に、仲吉が復帰運動を進めるにあたって、国際規範や国際社会との関係を意識していることが明らかになった。また、沖縄県公文書館に所蔵されている米国政府の文書から、国際社会をにらんだ仲吉の復帰運動を米国政府が警戒していたことも実証的に明らかにできた。従来、仲吉による復帰運動について「仲吉の影響力は、きわめて狭い範囲の仲間を越えるものではなかった」と言われてきたので、本研究の成果は先行研究の見解を修正する重要なものであると思われる。なお、これまで未発掘だった、仲吉良光による日本初の復帰陳情書の写しを外交史料館で発見できたことも成果の一つである。
資料収集および分析成果を、2022年10月に日本国際政治学会2022年度研究大会で発表した。その後、口頭発表の内容を論文にまとめ、『ROLES REVIEW』(東京大学先端科学技術研究センター創発戦略研究オープンラボ研究論文集)に投稿し、2023年3月に公表された。この論文は、下記アドレスのROLESの公式ウェブサイトから閲覧できる。 https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/publication/20230331
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023年に収集する予定だった資料を2022年度内に収集し、読解を終え、その研究成果を公表できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
仲吉の復帰運動の影響力を一層詳細に把握するために、米国政府の資料を集中的に収集し分析していく。特に、日本の国連加盟によって国連憲章第78条との関係から、米国の沖縄統治を法的に定めたサンフランシスコ平和条約第3条は死文化するという仲吉の主張に対して動揺した米国政府が、その法的な整理をどのように試みていたのかを検討していく。
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Causes of Carryover |
2022年度に1度、米国で資料調査を実施する予定だったが、第三子の出産と重なり海外への長期出張が困難になり、渡航調査費分が次年度使用額となった。2023年度の夏および冬にそれぞれ米国で資料調査を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)