2022 Fiscal Year Research-status Report
「想像の故国」に戻って:ディアスポラ再移住とコロナ後世界の多文化共生の課題
Project/Area Number |
22K20124
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
李 眞惠 立命館大学, OIC総合研究機構, 研究員 (20896831)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | ディアスポラ再移住 / 多文化共生 / 高麗人(コリョ・サラム) / ウズベキスタン / 韓国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、旧ソ連地域におけるコリアン・ディアスポラであるコリョ・サラムを対象に、故国に再移住したディアスポラのエスニック・アイデンティティの変容と流動化過程を解明し、国際的な多文化共生の可能性を検討することである。具体的な目的は次の3点である。まず(a)コリョ・サラムの韓国への移住要因と形態の基礎的な構造を解明し、居住国におけるプッシュ要因と韓国におけるプル要因について通時的に明らかにする。(b)彼らの移住を時期と出身国、そして目的別などに分類し、特に2007年以降ウズベキスタン出身の永住目的の移住が増加している現象から、その具体的な要因と特性について明らかにする。(c)韓国内のコリョ・サラムの移住の増加と集中居住地の形成による、ディアスポラのホスト社会における地方再生の効果に焦点を当て、国際的な多文化共生の可能性を提示する。また、本研究は、韓国に再移住したコリョ・サラムを事例として、ディアスポラの再移住とコロナ後世界の多文化共生の課題を検討するため、上記の3つの研究目的を次のように明らかにする。(a)移住のプッシュ要因とプル要因を通時的に解明すること、(b)2007年以降、ウズベキスタン出身の永住目的移住増加の特性を解明すること、(c)ディアスポラによるホスト社会の地域再生の可能性を検討することである。特に光州、安山、始興などに集中された彼らの移住と集中居住地の形成を中心に集中居住地探訪、関連機関と人物へのインタビュー実施などの現地調査から、人口と労働力空白の解決、商圏の形成、雇用創出などの効果とその実態について明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に提示した具体的な三つの目的の中、これまで、a(コリョ・サラムの韓国への移住要因と形態の基礎的な構造を解明し、居住国におけるプッシュ要因と韓国におけるプル要因について通時的に明らかにすること)とb(彼らの移住を時期と出身国、そして目的別などに分類し、特に2007年以降ウズベキスタン出身の永住目的の移住が増加している現象から、その具体的な要因と特性について明らかにすること)については、おおむね順調に進んでいる。最後のc(韓国内のコリョ・サラムの移住の増加と集中居住地の形成による、ディアスポラのホスト社会における地方再生の効果に焦点を当て、国際的な多文化共生の可能性を提示すること)については、これから進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの成果であるコリョ・サラムの韓国への移住のプッシュ要因とプル要因を通時的に解明したことと、2007年以降、ウズベキスタン出身コリョ・サラムの永住目的移住増加の特性を解明したことを踏まえて、「想像の故国」に戻ったディアスポラによるホスト社会の地域再生の可能性を総合的に検討していく。
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Causes of Carryover |
今後は、これまでの成果を踏まえて、「想像の故国」に戻ったディアスポラによるホスト社会の地域再生の可能性を総合的に検討しつつ、研究発信をしていく。そのための書籍の購入、フィールドワークなどに予算を使用する。
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Research Products
(7 results)