2022 Fiscal Year Research-status Report
企業組織事故の要因分析:組織構造が及ぼす効果の探究
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22K20128
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
寺本 有輝 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特任講師 (50961934)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 経営学 / 経営組織論 / 組織構造 / 組織プラクティス / 組織事故 / 企業事故 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1に,組織事故の発生メカニズムに関する既存研究の文献調査を行った.この調査の対象は経営組織論にとどまらず,経済学や工学などの幅広い学術分野である.そのうえで,本プロジェクトの申請時点で導出済みであった仮説を修正した.具体的には,組織構造だけでなく,組織内のプラクティスの重要性に研究のフォーカスを移した. 第2に,実証分析に用いるデータセットの整理を実施した.そのうえで,Pythonによる高度なデータ整理の必要性が生じたため,外部のプログラマーとの打ち合わせを行った.令和5年度の予算によって本格的なデータ整理を外注することが決まっている.これにより,異なるデータベースの事業所レベルの名寄せがより高い精度で可能となり,時系列分析が実行できる. 特定の行為主体を複数時点で分析することは,本プロジェクトの目的達成のために極めて重要である.なぜならば,既存の知見の因果関係の妥当性が低いという課題に対処することが本研究の狙いだからである. とりわけ本研究は,より妥当性の高い因果関係を導出するため,事故発生後の対応にフォーカスした分析を行うことを目指している.事故の有無を説明対象とする分析は,時間軸をどのように設定するかという問題がある.すなわち,事故につながる要因の効果が即座に発現するとは限らないため,事故の有無に影響を与えたのが,どの時点の組織要因であったのか特定することが難しいのである.この問題には,事故を起こしたあとの対応(組織構造の変更)の効果を分析することで部分的に対処可能だと考えられる.類似の事故を経験した組織群に注目して事前のリスクをある程度まで統制したうえで,事故後の対処の差異によってその後の事故率に差異が生じるのであれば,事故後の時点で変更された組織構造の影響を取り出すことができるだろう. 以上のことから,本プロジェクトはある程度まで順調に進行しているといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採択されてから5か月ほど, R4年度では研究環境の整備をほぼ終了した.準備は整っているため,令和5年度で計画を遂行するだけである.
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Strategy for Future Research Activity |
外部のプログラマーへの外注を効率的に活用しながら,データベースの高度な整理を進めていく.それと同時に,より定性的なデータを自ら収集していく.また引き続き文献調査を進めていく. また研究成果は,国際学会で発表予定である.具体的には,2024年のEGOSに応募予定である.
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Causes of Carryover |
プログラミングの外注が予定よりも高額になったため,次年度予算で執行することになった.次年度使用額はその外注費にあてる予定である.
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