2023 Fiscal Year Research-status Report
障害のある従業員による合理的配慮要望の意思表明を促進するリーダーシップと人事管理
Project/Area Number |
22K20130
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
丸山 峻 新潟大学, 人文社会科学系, 講師 (80963660)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 障害者雇用 / 合理的配慮 / 人事管理 / リーダーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、障害のある従業員の合理的配慮要望の意思表明の実態を明らかにするとともに、企業の人事管理や職場の管理者の行動が彼・彼女らの合理的配慮要望の意思表明にどのような影響を及ぼしているのかを検討することである。 この研究目的の達成のために、2023年度は前年度に引き続き、先行研究レビューを行った。配慮のプロセスに関する領域すなわち、職場における障害者の配慮要望、経営者による障害者への配慮提供、それらに対する職場の同僚の反応の3つの領域についてのレビューを2023年度に完了させた。この成果は、雑誌論文として公表した。 これらのレビューの結果として明らかになった、本研究課題に特に密接にかかわる今後の研究展望は、以下の2つである。 第1に、職場における配慮をめぐるプロセスについて、雇用主から開始されるプロセスや、非公式的な配慮要望などにも、その対象を拡大することが重要となりうる。 第2に、従業員と雇用主の相互期待である、心理的契約が理論的視座として重要なものとなりうる。心理的契約については、配慮プロセスをめぐる初期の理論モデルではその重要性が言及されていたものの、後年の実証研究では注目されていない。ただしそれは、配慮プロセスをめぐる議論に限ったことであり、障害者従業員の雇用管理をめぐっては、その重要性が示唆されているほか画一的な人事施策では対処できない雇用管理上のニーズに非標準的な措置・調整によって対応するという点で、配慮と共通した特徴を持つI-dealsの研究領域においても、心理的契約は中心的な理論的視座となっている。 心理的契約の形成される内容は、求人内容や適用される人事施策が、通常の従業員との差異の少ないものであるかどうか、という点によって左右される可能性がある。そのため、これらの点に着目したうえで、合理的配慮要望の意思表明との関係を今後は重点的に検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
職場における合理的配慮の要望から提供後に至るまでの一連のプロセスや、先行要因として想定している人事管理にかんする先行研究レビューは、おおむね完了した。しかし、それまでに当初の想定を上回る時間がかかったため、予定していたインタビュー調査ならびにWebサーベイの実施を行うことができていない。そのため、遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのレビューの結果をもとに、調査項目を定めて、インタビュー調査とWebサーベイを実施する。また、合理的配慮要望の意思表明の実態を明らかにするうえでは、その同僚の反応を検討することもまた重要であるため、それについても今後の計画に組み入れ対象の異なる調査を別途行うことがありうる。
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Causes of Carryover |
研究の遅れにより、調査を実施できなかったことが、次年度使用額の生じた主たる理由である。次年度使用額は、主にインタビュー調査とWebサーベイの実施に用いる。
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