2023 Fiscal Year Annual Research Report
Religion and economic behaviour of households, firms and groups in India
Project/Area Number |
22K20135
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 明日香 九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (20962856)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | インド / 賃金 / 格差 / 教育 / 相続 / 宗教参加 / 寄付 / NGO(ソサエティ、トラスト) |
Outline of Annual Research Achievements |
査読論文については、2022年度から投稿中であった「インドにおける宗教間賃金格差の要因分解―社会的弱者層に着目して」がアジア政経学会の学会誌『アジア研究』に受理・掲載された(第70巻1号、17-42頁、2024年1月)。本研究では、ヒンドゥー教徒の指定カースト/指定部族(SCs/STs)とイスラーム教徒の賃金格差に着目した。2000年代半ば以降、SCs/STsの平均教育水準が向上したことが、両者の賃金格差に影響していることを明らかにし、制度的不平等が社会的弱者間の格差を悪化させている可能性を示唆した。 学会報告等のうち"Amendment of the Hindu Succession Act and Women's Human Capital in India"は、インド全国家族健康調査の5期分のデータを用いて、ヒンドゥー教徒相続法の改革州に居住する土地所有世帯主のヒンドゥー教徒、シーク教徒、ジャイナ教徒、仏教徒の娘は、教育と健康状態の人的資本指標が改善していたことを明らかにした。本研究は現在英文査読雑誌にて査読プロセスが進行中である。その他の報告2件は、いずれも2024年度の早い段階で、それぞれ英文・和文査読雑誌へ投稿する予定である。 その他、2023年3月、8-9月、2024年3月にはインドの7州において、農村、寺院(特にヒンドゥー教寺院、シク教寺院(グルドワラ))、企業でフィールドワークを行った。いずれも予備調査としての見学・ヒアリングであり、例えば寺院ではその宗教的/世俗的な活動(礼拝・奉仕活動、格安の医療サービス提供等)を、企業では従業員の労働環境の中の神像を見学した。関連して、パンジャーブ州アムリットサル県のある農村では、現在、村の全世帯(約800世帯)を対象とした家計調査が進行中であり、質問票には「相続と遺産動機」「宗教/社会活動への寄付」等が含まれている。
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