2022 Fiscal Year Research-status Report
監査上の主要な検討事項に関する実証研究:監査継続期間に着目して
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22K20140
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
日下 勇歩 北九州市立大学, 大学院マネジメント研究科, 講師 (90964502)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 監査上の主要な検討事項 / 監査継続期間 / テキストマイニング / 専門家 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、監査上の主要な検討事項(以下、KAMとする)に関する実態調査と関連する先行研究のレビューを行った。まず、実態調査のための準備として、KAMに関するデータベースの構築を行った。KAMは、「KAMの内容を表す見出し」、「決定理由」、「監査上の対応」という3つの内容から構成されており、それぞれのテキストデータを収集する作業を行った。実態調査として、同一の監査人や監査法人が継続して監査を行う期間に着目して、その期間の長さに応じて記載内容などに重要な違いがあるかどうかを調査したが、現時点では明確な違いを読み取ることができていない。他方で、KAMにおける「監査上の対応」に関する説明を丹念に調べた結果、これまでにあまり開示されることがなかった新しい内容が含まれている可能性があることが分かった。とくに、監査における専門家(評価専門家など)の利用について、企業ごとに違いがあることが予想された。そこで、実態調査を拡張して、KAMにおける「監査上の対応」の説明に基づいて、監査における専門家の利用状況に関するデータベースを構築することを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、KAMの個数や文章の長さに注目すれば良いと考えていたが、KAMに含まれる説明を基に専門家の利用に関するデータベースを構築することにしたため、予定していたよりも実態調査に時間を費やした。そのため、先行研究のレビューや実証分析などの作業にやや遅れが生じた。しかし、当該データベースを構築する作業はおおむね完了しているため、今後は実証分析や論文執筆にスムーズに移行できると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、先行研究のレビューを踏まえて、仮説構築や実証分析をすすめる。実態調査を踏まえて、まずは、KAMの内容の違いがなぜ生じているのかを分析できた方が望ましいと判断した。今後の方向性として、「監査上の対応」に関する違い(とくに、専門家の利用に関する違い)がなぜ生じているのかについて明らかにしたい。そうした対応の違いを生じさせる要因の1つとして、同一の監査人や監査法人が継続して監査を行う期間を扱うことができないか再度検討したい。
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