2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Conflicts in Management Accounting Change with Institutional Theory as the Theoretical Basis
Project/Area Number |
22K20148
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Research Institution | Kaishi Professional University |
Principal Investigator |
明珍 儀隆 開志専門職大学, 事業創造学部, 准教授 (90966912)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 管理会計チェンジ / 制度ロジック / 制度的複雑性 / 組織コンフリクト / 旧制度派経済学(OIE) / 新制度派社会学(NIS) / 新制度論(NIT) / 制度的企業家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,制度ロジック,制度的複雑性に着目し,管理会計チェンジにおける組織の制度変化プロセスおよび組織コンフリクトのメカニズムを明らかにすることである。最終年度は,制度論に関連する諸概念の先行研究調査を継続し,理論研究への比重を高めた。その結果,組織コンフリクトの発生からその後の経過および帰結に至るまでのプロセスの解明に関して,「実践主導型マルチレベル分析モデル」(Smets et al., 2012)および「制度化フレームワーク拡張モデル」(ter Bogts and Scapens, 2019)の関係性を明確化した。前者は,ロワーレベルからのトリクルアップによって制度ロジックの多元性によるコンフリクトが解消へ向かうプロセスを詳述する。一方で,後者は,組織内外の要因に基づく制度ロジックの多元性によるコンフリクトの発生と組織内への影響を詳述するモデルであり,コンフリクトの解消を前提としていない。この違いは各モデルの焦点が異なるためであり,組織内外の環境や文化等のコンテキストによって両者の使い分けを行うことが有効であることが示唆された。本研究において,管理会計チェンジにおける組織変化プロセス,コンフリクトのメカニズム解明に関する一定の成果を得られたことは意義がある。 今後の課題は,前述の2つのモデルにおいて管理会計が果たす役割をさらに明確化し,母学問(Mother discipline)としての制度論へ理論貢献することである。管理会計チェンジでは,管理会計責任者/担当者の役割の変化へ焦点をあてた研究が蓄積されている。しかし,管理会計研究では,制度的企業家(Institutional Entrepreneur)や制度的実践/活動(Institutional Work)というアクターに焦点をあてた概念の議論が少ないため,制度論と管理会計の双方が果たす役割に関して探求する。
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