2022 Fiscal Year Research-status Report
国内外の金融政策の波及効果に対する非ガウス型パネル及び時系列モデルの開発と実証
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22K20151
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
中西 正 統計数理研究所, リスク解析戦略研究センター, 特任助教 (30967203)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | データ駆動型 / 金融政策分析 / 時系列モデル / 非ガウス性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は2つの研究課題に取り組んだ。 (1)NG-SVARモデルの数学的裏付け セミパラメトリック統計の観点からNG-SVARモデルの数学的裏付けを行った。研究協力者の前川功一と提案した擬似最尤法やRに搭載されている‘id.ngml’は、サンプルサイズが大きくなると一致推定量や漸近正規性を持つことがわかった。本研究によりNG-SVARモデルにおける重要な研究課題の一つを解明できたことは非常に意義のあることであったと思う。本研究は、「Maekawa K, Nakanishi T. Estimation of non-Gaussian SVAR models: a pseudo-log-likelihood function approach. Journal of Statistical Computation and Simulation.2022」に取りまとめ出版済である。 (2)実証研究への応用 これまで行ってきたシミュレーション結果やセミパラメトリック統計の観点から得た一致推定量や漸近正規性といった性質から我々が提案した擬似最尤法はシミュレーションの段階ではかなりの高精度を誇ることが示された。また、実際の経済時系列データの取得可能な数を想定し、小サンプルでのシミュレーションを行なってきたが、精度については良好であった。先に示したMaekawa and Nakanishiでは、我々が提案した擬似最尤法を用いて、米国のマクロ経済を分析した。今後は実際のデータを考慮し、非定常時系列データに関するシミュレーション分析を行う必要があるが、研究報告や査読過程から今後の課題に関する有益な情報を得た。今後はこれらのコメントをもとに研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、出版された共著論文の査読に時間を要し、また、その修正に時間がかかったが、概ね予定していた研究は終えている。また、1件の研究報告、1本の査読論文を出版した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はこれまでの研究成果をもとに以下の研究を予定している。 (1)非定常過程におけるシミュレーション実験 (2)NG-SVARモデルによる日本の金融政策の実証分析 (3)非ガウス型パネルデータモデルの開発 (4)各国の金融政策の相互間波及効果の実証分析 上記の研究を行い随時、研究報告や出版活動を行いたい。
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Causes of Carryover |
コロナ対応のため、当初予定していた研究報告や研究打ち合わせの延期を余儀なくされたため。 2023年度は、昨年度に実施できなかった研究打ち合わせや学会に参加する予定であり、それらの参加費・旅費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)