2022 Fiscal Year Research-status Report
Expectation Formation and Macroeconomic Dynamics: Evidence from Micro-data
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22K20163
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊池 淳一 大阪大学, 社会経済研究所, 助教 (10961633)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | インフレ期待 / 消費 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インフレ期待と消費の関係性を明らかにし、異時点間の代替の弾力性を推定することである。先進諸国において、金融政策の手段の一つである金利がゼロになり、伝統的な金融政策に手詰まり感が漂っている。このようなゼロ金利制約下において、先進諸国の中央銀行は、期待に働きかける非伝統的金融政策を運営している。この非伝統的金融政策の背景には、インフレ期待と消費の理論的に整理された関係性がある。しかし、両者の関係性は実証的なコンセンサスが得られておらず、またインフレ期待の変化がどの程度消費を変化させるのかについては明らかにされていない。その理由は、インフレ期待と消費の両方のデータを揃えることが困難だからである。本研究は、インフレ期待と消費のデータを揃え、インフレ期待と消費の関係性を明らかにし、さらに金利の変化に対して消費配分がどの程度変化するのかを捉えるパラメータである異時点間の代替の弾力性を構造的に推定する。 令和4年度は、進行中であったインフレ期待と消費の関係性に関する研究を進めた。インフレ期待と消費の関係性について、現実と理論的想定が一致しているのかどうかを検証した。分析の結果、現実は理論と整合的であるという結果を得た。具体的には、インフレ期待が上昇すると将来と比較した現在の消費は配分を増やすという結果が得られた。これらの分析結果をまとめ、国際誌への投稿も行った。さらに、異時点間の代替の弾力性の推定のため、データを整理するとともに、分析手法の精緻化を進めた。具体的には、大阪大学社会経済研究所が収集している「くらしの好みと満足度に関するアンケート調査」を分析のために整理した。また、初期分析も実施し、インフレ期待と消費の関係性は現実と理論的想定が一致していることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、進行中だったインフレ期待と消費の関係性に関する分析を行い、論文を国際誌に投稿した。結果として採択はされなかったものの、査読者のコメントをもとに推計手法を再検討した。来年度前半には論文を再投稿する予定である。また、新たなデータを用いた分析のためのデータ整理も進行中である。研究課題は当初の計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究内容を踏まえ、本年度は推定手法の再検討、及び論文の再投稿を行い、引き続き研究計画に沿って研究を遂行していく予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度に実証分析のためのPCを購入予定だったが、半導体不足などの理由から購入ができなかった。PCは令和5年度に購入予定である。
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