2023 Fiscal Year Research-status Report
SpecialistとGeneralistの最適人材構成の分析
Project/Area Number |
22K20172
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 孝平 早稲田大学, 政治経済学術院, 助手 (80962068)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 人事経済学 / 組織経済学 / SpecialistとGeneralist / AdaptatioとCoordination / 人的資本 / 人材配置 / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、組織の効率的な人材構成をテーマに、人材をSpecialistとGeneralistに大別する。そして市場への適応・組織内の調整を軸として、(1)比較静学による二者の最適な人材構成の理論モデル構築、(2)同モデルを現実企業に当てはめた実証分析を行う。 このうち、二者の最適な人材構成の理論モデルをアップデートすることで、以下の示唆が得られた。(1)調整の重要性が小→大とシフトすると、組織の最適構成もSpecialist重視の組織からGeneralist重視への組織へと単調に変化する。(2)調整の重要性がある一定の値より大きいという条件で、市場の不確実性が小→大と変化すると、組織の最適構成もスペシャリスト重視の組織からGeneralist重視への組織へと単調に変化する。調整の重要性がある一定の値に満たない場合、単調なシフトは発生せず、いかに市場の不確実性が大きくなろうと最適な構成はSpecialist重視もしくはSpecialist・Generalistがバランスよく配置された状態で低止まりする。高い市場の不確実性でGeneralistが好まれるのは、調整の重要性が高い組織に限定される。 (3)適応の重要性と組織の最適な構成は単調の関係にない。調整の重要性がある一定の値より大きいという条件のもと、はじめは適応の重要性が小→大とシフトすると、組織の最適な構成はSpecialist重視→Generalist重視とシフトするが、さらに適応の重要性が大きくなると、Generalist重視→Specialist重視と最適構成が変化する。 そのほか、実証研究を行うための協力企業のビジネスの理解度を深めるため、特徴の異なる部門を対象にインタビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論モデルをアップデートし、「研究実績の概要」に書かれている通りの示唆が得られている。現在は国内総合商社の人事データを用い、上記で得られた示唆が現実データにおいても同じ傾向がみられるか研究中である。実証分析に差し当たって、人事データにはない情報(組織内調整や市場適応の重要度、市場の不確実性)を取得するため、追加データの提供を依頼する予定である。しかしながら先方との調整が長引きインタビューの日程が遅れたこと、追加データ取得のための交渉も長引いていることからデータの取得に至っていない。そのため実証研究に遅延が発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」に記載の通り、理論モデルで得られた示唆を実証するために、国内総合商社の人事データを用い分析予定である。加えて人事データにはない情報を取得するため、当該総合商社の各事業部門に対し、組織の調整の重要性や事業に関する市場適応の重要性、不確実性などのデータを提供いただく予定である。おこなったインタビューの内容も鑑みて、商社や事業部門にとっての「調整」としてニュースリリースの案件内容、「適応」として部門長が出席する社内ミーティングの頻度、「不確実性」として部門の計画売上と実売上の乖離などの情報を必要に応じて先方に依頼する。 Specialist, Generalistの分類については、発令情報をテキスト分析し、どの程度幅広い経験をこれまで行ってきたかを確認、その多寡で分類する。
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Causes of Carryover |
今年度は最新の研究に関する書籍、論文のほか、研究結果を報告するための学会旅費や英文校閲代、論文投稿料に予算を充てた。また、ニュースリリース集計としてリサーチアシスタントを雇い、この費用も捻出した。 今年度は引き続き、最新の研究に関する書籍、論文のほか、研究結果を報告するための学会旅費や英文校閲代、論文投稿料に予算を充てる。必要に応じてリサーチアシスタントも雇う。
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