2023 Fiscal Year Research-status Report
災害復旧・復興における「社会の空気感」の変化に関する研究
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22K20183
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
松原 悠 滋賀大学, データサイエンス学系, 助教 (30840227)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 社会の空気感 / 災害復旧・復興 / 地震災害 / 気象災害 / 火山災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は主に以下の3点に取り組んだ。 ・文献等の資料にもとづいて過去30年間の災害事例における「社会の空気感」を把握しようとする試みについては、昨年度から実施している地震災害に加え、今年度は気象災害や火山災害も対象とした。地震災害に関しては、一つ一つの社会活動が平常時の状態に戻っていくことが「社会の空気感」の変化の背後にあると考え、過去に発生した10の地震災害に関する社会の平常化プロセスを比較した分析結果を学会で発表した。気象災害に関しては、地震災害を対象として実施した分析手法を踏襲した形でデータ収集や分析を行った。結果としては、地震災害と比べて社会の平常化のサインがやや少ない傾向があるものの、概ね地震災害と同様の分析結果が得られることを確認できた。火山災害については、地震災害や気象災害と比較して火山活動は長期間に及ぶ場合があり被害形態も地震や水害と異なる部分が大きいため、同様の手法で分析を行うことは困難であることがわかった。 ・上記の作業に加えて、2023年度は災害発生直後の被災地に足を運び、「社会の空気感」の変化に関する情報を現地での観察等を通じて収集することも試みた。具体的には、2023年5月に能登半島で発生した地震や、2023年8月に福知山市で発生した水害についてこれを実施した。 ・今年度は、相対的に規模の大きな地震災害である令和6年能登半島地震が2024年1月に発生した。この地震災害に関しては、リアルタイムに日々発信されるニュース・記事・行政等の発表・SNS上の情報等を対象として、「社会の空気感」の変化をとらえることに資すると思われた資料を逐次収集した。今後、分析を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、地震災害に関する分析結果の学会発表を行うことができたほか、当初予定していた気象災害や火山災害についての資料収集と分析も進めることができた。また、限定的な内容ではあるものの災害発生直後の被災地における現地調査も行うことができた。しかしながら、年度当初に構想していた、上記のアプローチを補完しうるような追加的なデータ分析(SNSの分析や社会調査等)については実施できていないことから、当初の計画と比べてやや遅れているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、本研究課題の最終年度として、これまでに収集した過去の災害に関する資料のとりまとめを行う。また、2023年度に実施できなかったSNSの分析や社会調査について、いずれか一方または両方を実施し、既に存在している資料に基づく分析のみではアプローチが困難な領域における「社会の空気感」の変化をとらえることを目指す。
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Causes of Carryover |
年度当初に想定していたSNSの分析(もしくは社会調査)等が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。これらは2024年度に実施し使用する予定である。
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