2022 Fiscal Year Research-status Report
非肥満若年女性の体組成・食生活習慣が代謝異常性脂肪性肝疾患MAFLDに及ぼす影響
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22K20185
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
田尻 絵里 熊本県立大学, 環境共生学部, 助教 (10961948)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 隠れ肥満 / 耐糖能障害 / 脂肪肝 / やせ願望 / 食行動異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における若年女性は、強いやせ願望を有することが多くの研究で報告されており、近年問題視される隠れ肥満の基盤となっていることが推察される。また、BMI正常例において体脂肪率が健康障害に及ぼす影響について検討した報告は少ない。 昨年度は、非肥満若年成人女性における隠れ肥満が及ぼす病的意義について、耐糖能、脂肪肝、食行動の観点から検討した。BMI 25kg/m2未満の20代女性60名を対象とし、体組成(身長、体重、体脂肪率、筋肉量、骨格筋量、骨格筋指数、腹囲、ヒップ径)、握力、血液検査項目(HbA1c、インスリン、アディポネクチン、遊離脂肪酸、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、血小板数、AST、ALT、γ-GTP)、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)、食行動(BDHQ、EAT-26)を評価した。隠れ肥満における体脂肪率の明確なカットオフ値は定義されていないことから、体脂肪率の中央値で対象者を2分し、群間比較を実施した。 対象者のうち、14名(23.3%)にOGTT120分値≧140mg/dl、27名(45%)にOGTT60分値≧155mg/dlを認めた。体脂肪率高群は低群に比し、HOMA-IR、γ-GTP、脂肪肝指数、中性脂肪が有意に高値を示し、ASTは有意に低値を示した。また、炭水化物エネルギー比率は有意に低値を、脂質エネルギー比率及びEAT-26のダイエット尺度項目は有意に高値を示した。 以上より、非肥満若年成人女性においても、体脂肪の蓄積は、脂肪肝のリスクやインスリン抵抗性を惹起し、耐糖能障害、ひいては2型糖尿病を招く可能性が考えられた。さらに、これらの背景として、食行動異常の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象者数は2年間で100名を予定しており、昨年度は当初予定していた50名より多い60名の測定を実施した。また、当初から推測していた体脂肪率と健康障害の関連について、昨年度の結果から、体脂肪率の高値は耐糖能障害と関連する可能性が示唆され、さらに、その背景として食行動異常を観察し得た。以上の理由より、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、対象者数100名を目標に、残り40名の測定を実施する。対象者を増やした上で、昨年度と同様の解析を行い、結果の妥当性の検証を行うほか、体脂肪率と脂肪肝、及び食事摂取量との関連についても詳細な検討を実施する。また、昨年度は、隠れ肥満における体脂肪率の明確なカットオフ値は定義されていないことから、中央値で対象者を2群に分けて解析を実施したが、十分な対象者数が集まった際には、体脂肪率のカットオフ値の推定まで実施する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた論文執筆投稿に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせた使用計画としては、残り40名の測定を実施するため、採血に関わる費用が生じる予定である。また、研究の成果を学会発表および論文投稿により発表する予定である。また、学会発表においては、国内学会だけではなく、国際学会においても発表する予定である。
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