2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K20190
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
眞田 英毅 同志社大学, 文化情報学部, 助教 (00961971)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 学校外教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,学校外教育の多様化・大衆化の現状を明らかにするステップへと着手した.具体的には,前年度に実施したウェブ調査の結果を用いて,学校外教育がどのように大衆化していったのかを実証分析した.データは,20-30歳の男女で,中学3年時の学校外教育利用について,ウェブを用いたアンケート調査を行っている.結論として,学校外教育は多様化しているものの,これまでマジョリティであった塾・予備校に私費で通う人々は全体の割合としても変化はなかった.学校における補習システムや無料塾のようなものが提供され始めてきているが,一方でそういった新しく誕生した学校外教育の形態はまだまだ世の中に浸透しておらず,割合としても小さいものとなっている.また,学校における補習システムは学校外教育の代替とはならず,あくまで別のものと考える傾向にあった. また,本年度は学校外教育の大衆化に関する論文執筆も行った.具体的には,東京大学社会科学研究所が実施している「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」を用いて,学校外教育の利用率の増加とそれに伴って利用者層が変化しているのかについてコーホート比較を実施した.その結果,利用率が一番高いコーホートでは学校外教育を利用している層に社会階層間の格差はみられなくなった.その一方で大衆化する前の拡大期には階層による学校外教育の利用しやすさ/利用しにくさが確認できた.なお,この論文は査読つき論文として刊行予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は昨年度に行った調査を用いた分析を十分に行うことができなかった.その原因として,そもそも学校外教育の調査を中学生のときだけに限定してしまったという課題点があげられる.そこで本研究は1年研究期間を延長し,再度調査を実施し,その結果をもとに学校外教育の大衆化について検討することとした.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年延長し,来年度も引き続き研究を推進する.先にも書いたように,本研究課題で1度実施したウェブ調査(プレ調査)は,学校外教育の多様化を明らかにするのには必要不可欠であったが,一方で調査・分析を行うにあたり課題も洗い出すことができた.よって本研究は再度ウェブ調査を実施し,中学および高校での学校外教育の多様化について実証研究を行う.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,プレ調査によって生じた課題に対して取り組み,新たなウェブ調査を実施する必要性があるからである.プレ調査実施時点では中学段階での学校外教育のみに焦点をあてることを検討していたが,分析および研究会での発表を通じて高校段階での学校外教育の実態の調査も不可欠であると考えるようになった.そこで,先行研究及び現代の学校外教育を取り巻く状況を整理した上で,再度ウェブ調査を実施することとした.
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