2023 Fiscal Year Annual Research Report
家事のジェンダー不平等生成メカニズムの再検討:家事スキルの蓄積プロセスに着目して
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22K20191
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
柳下 実 佛教大学, 社会学部, 講師 (00963604)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 家事労働 / ジェンダー / 未婚者 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から実施していた家庭科共修化が男性の家事労働を増やすのかどうかについての知見についてはアメリカ社会学会大会で報告した.社会生活基本調査の2001,2006,2011,2016年のミクロデータを用いた分析の結果からは,一貫した結果が得られなかった.2001年では共修後のコーホートの家事時間が長いという結果が得られたが,2006年では共修前のコーホートの家事時間が長く,2011年や2016年では有意な差がなかった.家事・育児・介護・買い物・家事のための移動を合算した家事関連時間について検討したHara & Rodriguez-Planas(2023)では一部の夫が家事関連時間を増やすことが示されたが、家事に限定するとこうした効果は見られないことが明らかになった。また、結婚が男女不平等な家事労働をもたらすとする先行研究の知見から、結婚する前の未婚者の家事に着目し、未婚者が家事をどのように行っているのかを検討した.結果については、家族社会学会大会で報告した.結果から,最近のコーホートになるにしたがい未婚時の家事時間の男女差が少なくなっていること,未婚者における家事時間の男女差は、20代後半に女性の行動者率が高まることから生じていることが明らかになった.また,一人暮らしや就業などを統制しても,特に20代後半や30歳前半で未婚男性よりも未婚女性がある程度の時間を家事に費やすようになることが明らかになった.従来の研究では未婚者の家事はほとんど検討されてきていないが,未婚の時点でも男女差がとくに20代後半から生じていることから,家事のジェンダー不平等を検討する上では、未婚時の家事の男女差をさらに検討する必要性が示された.
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