2022 Fiscal Year Research-status Report
Identifying Difficulties in the Lives of Single-Parent Households Raising Severely Ill Children with Medical Care
Project/Area Number |
22K20207
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
小田島 朋 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害福祉研究部, 流動研究員 (00966062)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 医療的ケア児 / 重症心身障害児 / ひとり親世帯 / 母子世帯 / 家族支援 / 在宅生活 / 健康面経済面の課題 / 生活上の支障 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は重症心身障害のある医療的ケアが必要な子どもを養育する世帯について、生活上の課題を明らかにすることにより、改善の方策の検討に資することを目的としている。子に重い障害があり、在宅で介護と医療のケアを行うような場合、親は就業が容易でなく、経済的社会的に苦境に陥るリスクが高くなる。重い障害がある医療的ケア児を育てるひとり親世帯及びふたり親世帯にインタビュー調査を行い、生活の遂行に際して不足するサービスや支援の内容について整理し、課題の改善や解消に必要な内容について抽出する。ふたり親世帯については、ひとり親世帯の結果を検証する比較群として収集する。 初年度はインタビュー調査で使用する調査票の作成に際し、医療的ケアが必要な子どもを育てる親を対象とした質的調査に関する先行研究を収集し、検討した。母親へのインタビューに基づく在宅療養における困難事象の構造研究及び母親自身の健康管理を通じた生活上の課題研究を踏まえ、質問項目案を作成した。 並行して調査対象者を機縁募集したが、関係機関が医療関連であったためCOVID-19の感染状況により募集が難航した。2023年3月より募集を開始することができたため、2023年4月からインタビューガイドに基づく半構造化インタビュー調査を行っている。 今後、インタビュー調査を継続しテキストに基づく質的分析を行う予定であるが、現在までに実施したインタビューにおいては、主に教育・福祉の地域資源の格差に起因する親の就労の困難性や経済面の負担、福祉・医療サービスの利用のしづらさによる生活の質の低下などの課題が明らかとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー対象者の募集に際して、当初、調査協力先の医療機関における募集を予定していたがCOVID-19の感染状況の長期化により難航し、インタビューの開始時期が遅れた。感染者の減少による社会状況の変化に伴い、医療機関に協力をいただき2023年3月から対象者の募集を開始し、2023年4月よりインタビュー調査を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続きインタビュー調査を実施し、逐語録を作成後に質的分析を行う。分析にあたっては、世帯の経済状況や医療・障害福祉サービスの利用状況及び教育分野における送迎の要否などの日常生活に関する行為、就労の状況と経験を踏まえた今後の生活の展望などについて、ひとり親世帯とふたり親世帯の調査内容を比較し、差異が生じるのかについて検討する。課題の改善や解消に必要な方策について制度面からの検証を行い、具体的な対策を踏まえた提言案を考えていく。 結果の公表については学会発表及び論文の執筆・投稿、関係機関への周知を予定している。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の実施に際して、調査対象者の募集協力を関係する医療機関に依頼していたが、令和4年度はCOVID-19の感染状況により慎重にならざるを得なくなり、募集が難航した。そのため人件費及び旅費の支出が抑制的になった。 令和5年度は関係機関、機縁募集によりインタビュー対象者の募集が可能となり、順次調査を開始する予定である。
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