2022 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症児の語用能力発達及び語用障害-内在化障害関連の性差の検討
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22K20213
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
水谷 柳子 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 博士研究員 (90963588)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉症 / 語用障害 / 内在化障害 / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(Autism spectrum disorder; ASD)は社会的コミュニケーション障害が特徴の一つであるが、ASD女児は児の持つ困難さが把握されづらい。このためASD男児に比べ診断に遅れが出ること及び有意に身体症状の訴えが多くなることが指摘されてきた。ASDのコミュニケーション障害の中核である語用について、その能力発達の性差や不安や内在化障害との関連を明らかにすることは、二次障害を防ぐことに貢献する。本研究では、ASD女児の早期診断・支援や二次障害予防へ繋げるため語用能力について以下の3つの検討を行う。〈1〉ASD児の語用能力発達及び、不得意な語用下位領域について性差の検討〈2〉語用能力の高低が学齢期ASD児の不安や内在化障害にどのように関連するかの検討〈3〉語用能力と問題行動・不安との関連性に性差による差異はあるかの検討 子どもの語用能力調査には「ことばのつかいかたテスト」(The Test of Pragmatics of Japanese for Children; TOPJC)を用いた。TOPJCは音声・字幕付きアニメーションテストで未就学児から使用可能であり、子どもの語用能力を直接評価できる。子どもの不安や内在化・外在化問題行動の評価については、児の家庭での様子をよく知る親(養育者)に現在の子どもの様子についてチェックリストへの回答を求めた。本調査は自宅にての実施を依頼した。対象は4歳から15歳までのASDと診断された児とした。2022年12月から240名を目標にリクルートを開始した。現在までに178名の参加エントリーを数え、うち115名(男児87名、女児28名)のTOPJC実施及びチェックリスト回収を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は参加者リクルートを2施設で行う多施設共同研究であり、またCOVID-19の影響も相まって倫理審査決定が出るまでに通常より時間を要した。この影響によりリクルートの開始時期が予定より4ヶ月ほど後ろ倒しにはなったものの、その後は順調にエントリーが進み初年度の目標は概ね達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は引き続き予定数240を目標に、特に女児のリクルートに力をいれる。 データが出揃った段階で、〈1〉男児女児それぞれのTOPJC総正答数について、両群の比較を行う。また群別に年齢との相関分析、発達曲線の検討を行いそれぞれに性差の検討を行う。〈2〉TOPJC総正答数と質問紙から得られた不安や内在化・外在化問題行動等の比較得点との相関分析等を行う。〈3〉2で得られた結果を元に、相関等に性差が無いかの検討を行う。 この結果を順次国内外学会で発表し、また国際誌への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
2022年度は、年度途中からの開始であった。また倫理審査決定までに時間を要しリクルート開始が予定よりずれ込んだ。このことにより研究代表者のリクルートに関わる旅費や謝金などにあてる使用金額が少なかったことが次年度使用額が生じた原因である。 次年度は女児のリクルートを強化し、実施者への謝礼を速やかにお渡しするように取り計らう。また、速やかなデータ取得のため、リクルート実施施設への出張回数を増やす方向である。 本研究で得られた研究の成果や結果について、国内や海外の学会で発表するため、旅費として使用する。得られた成果を論文化する際に必要な英文校正、出版費などにも使用予定である。
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