2022 Fiscal Year Research-status Report
勤務時間と給与に関する政策の形成過程からみる教員勤務の特殊性
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22K20219
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Research Institution | Sendai University |
Principal Investigator |
伊藤 愛莉 仙台大学, 体育学部, 助教 (70964253)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 教育行政 / 教員給与 / 勤務時間 / 政策過程 / 官僚 / 文部省 / 人事院 / 教育政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究を進めるための環境整備と、教員の勤務時間と給与に関する政策の形成過程から教員勤務の特殊性を明らかにするための準備作業を行った。主な内容は以下のとおりである。 第一に、1946年から1950年及び1965年から1971年の教員の勤務時間と給与に関する政策の資料リストを作成した。リストを作成したところ、現物を確認し収集の判断をする必要のある資料が多くあることが明らかになった。これを踏まえ、所蔵場所等を考慮しつつ1946年から1950年及び1965年から1971年の資料収集をまとめて行うこととし、分析の時間を次年度に多くとることとした。本年度は特に国立公文書館にて資料の収集を行った。インターネットで公開されていないものについて、現物の内容を精査し、必要に応じて複写依頼を行った。1965年から1971年と比較して、1946年から1950年の間では、より多くの組織を分析対象にする必要があること、個人の日記や著作物を広く確認する必要があることがわかった。 第二に、本研究では、文部省に加え人事院、労働省、大蔵省、法務省も分析対象とするため、それらに関する先行研究のリストを作成した。また、法令解説書を含む文献リストを作成した。教員の給与と勤務時間に関する政策が、既存の制度とどのように折り合いをつけてきたのかを検討する本研究の遂行には、基本的な法制度の理解が必要不可欠だからである。リストの作成にあたり雑誌等の寄稿にも目を配る必要があることが分かった。 第三に、1965年から1971年を対象に勤務時間と給与に関する法案の作成にかかわった個人の著作物について、図書に限らず、雑誌や新聞への投稿を含めた資料リストを作成した。この作業からは、継続的に政策にかかわる人物が存在することや、一時的にかかわる人物が存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、法案作成過程に関する資料の収集、個人の著作物に関する文献リストの作成や、人事院、労働省、大蔵省、法務省の基礎的・基本的な理解のための文献リストの作成を行うことができた。また、必要な機器の購入により、研究遂行のための環境を整えることができた。 他方、資料収集については、古い資料も多いため、現物にあたり内容を確認し、該当箇所を特定することや、文字の解読に想定よりも時間がかかってしまった。マイクロフィルムで保存された資料もあり、機器を用いて現物の内容を精査する必要があるため、資料収集に時間がかかっている。次年度では、資料内容の確認、収集のために、ある程度まとまった時間を確保したい。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2022年度の作業をもとに、資料収集を一通りおえる。資料の現物を確認する必要があるものについては、国立国会図書館やそのほかの図書館に赴き、内容を精査しながら資料収集をおこなう。適宜、複写依頼、相互貸借を利用したり、古本の購入を検討することで資料収集の効率化を図る。 その後、1946年から1950年及び1965年から1971年の勤務時間と給与に関する政策の勤務時間と給与に関する政策の形成過程を対象に文部省 大蔵省、労働省、人事院、法務省の、教員勤務の特殊性の認識の分析に着手し、分析結果や解釈に飛躍がないかインタビュー調査等をもとに検討する。これらの作業を通し、日本における教師像の精緻化を図る。最終年度となるため研究成果の公表に努める。
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Causes of Carryover |
資料収集のリスト作成に着手したところ、想定よりも収集すべき資料が多く確認された。また、収集以前に現物の内容を確認し収集すべきかどうか内容を精査する時間が必要になった。これを踏まえ、当初の予定を変更し、1946年から1950年及び1965年から1971年の資料をまとめて収集することとした。 1946年から1950年の分析を次年度に行うこととし、インタビュー調査を次年度に持ち越したため、旅費に差額が生じた。また、資料の現物の内容の精査に時間がかかったため、関連する文献の購入費用や複写代に差額が生じた。
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