2022 Fiscal Year Research-status Report
An Empirical Study on Dual Enrollment Effect on College Readiness
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22K20220
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
高野 雅暉 流通経済大学, 学部以外の部局, 教育学習支援センター所員 (70962398)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 教育制度 / 高大接続 / 二重登録制度(Dual Enrollment) / 早期カレッジハイスクール |
Outline of Annual Research Achievements |
二重登録制度(DE)を取り入れたハイスクールである早期カレッジ・ハイスクール(ECHS)を対象として、その設立の背景にある学術的な根拠を明らかにした。ECHSとは、大学の内部もしくは近隣に設置され、ハイスクールと大学の教育環境を融合させた4-5年制の学校である。 ECHSの前身は1970年代にニューヨーク市を中心に設立されたミドル・カレッジ(MC)とされているが、とりわけその制度設計に多大な影響を与えた人物がラガーディアMCのリーバーマン(Janet Lieberman)である。 MCのように中等教育と高等教育前期2年間を統合させた学校段階を設立するにあたり、リーバーマンが依拠した根拠は3点にまとめられる。第1に、ハイスクール後期の年齢層と大学前期の年齢層との発達段階における共通性である。すなわち、17-20歳という「青年期後期」(late adolescent stage)という時期を,中等教育と高等教育と区切らずに、ひとつの学校段階として教育することが適当と考えた。 第2に、大学生をロールモデルとすることによる教育効果である。リーバーマンは、ハイスクール生が「大学で成功しているモデルを認識」することにより、「生徒が高等教育へ惹きつけられる契機」となることを意図した(Lieberman 1975: 4)。そのため、大学生とハイスクール生を同じ場で交流させる有効性を説いた。 第3に、教育課程としてハイスクール教育と大学前期教育の共通性である。リーバーマンはクーズ(Leonard Koos)の学校体系論を参照しながら、ハイスクールと大学前期に提供されるカリキュラムが本質的に同等であると考えた。両者が「普通教育」という同一の系統性のもとで一つの学校段階として再編されることで、より体系的なカリキュラムや学校運営が可能となると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではDEの教育効果を検証するために実地調査を行う予定であったが、調査方法の推敲と調査機関との日程調整に時間を要した。そのため、当初のスケジュールよりも実地調査の進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更点として、DEがカレッジ・レディネス形成を促す一連のメカニズムについての仮説を見直す。これらの仮説の推敲が完了次第、研究計画通り実地調査による検証作業に移る予定である。
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