2022 Fiscal Year Research-status Report
Studies of individual optimal learning in sewing classes applying Swedish craft education
Project/Area Number |
22K20229
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Research Institution | Aichi Gakusen University |
Principal Investigator |
長 拓実 愛知学泉大学, 家政学部, 講師 (50966190)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 被服製作 / スウェーデン / スロイド / ものづくり / 家庭科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
Stockholm Education Administrationの協力を得て, 令和4年度後半にスウェーデンの小中一貫校および特別支援学校, 合計4校訪問し, 6名の教師による主に布を用いた製作学習を行うテキスタイルスロイドの授業を参観した。そのうち3名の教師にインタビュー調査を実施し, スウェーデンの公的カリキュラムにおけるスロイドの学習目標や内容をもとに, どのようにして製作題材を決めているのか, 教師による支援方策を中心に尋ねた。加えて, 年間指導計画やワークシート, ルーブリックなどを収集し, ストックホルムの小中一貫校の個別最適な学びにおける「指導の個別化」や「学習の個性化」が現れてみえる資料及び場面を特定し, その意図を検討することを試みた。その結果, (1)小学校 3年次はミシンを用いず手縫いや手編みの学習を行い, 4年次になるとミシンを主に用いる製作学習を計画し, (2)プロジェクト学習が計画される中学校3年次を除き, 中学校2年次までは教師が意図的に製作題材を指定している実態を把握することができた。また, (3)指導においては児童・生徒との対話を重視し, 彼らの作品作りに関するアイディアを膨らませるような支援を検討し, 例えば布にスタンプを押す活動を取り入れて作品のオリジナリティを生み出すなど, 児童・生徒が作品作りを楽しめるための工夫などもみられた。以上のことより, スウェーデンのテキスタイルスロイドにおいては, 教師が小学校3年次から中学校3年次にかけて体系的な学びの年間指導計画を作成し, 教師が指定した作品を児童・生徒に製作させていたことがわかった。そして, 教師が意図を持って決定した題材であっても, 授業時の指導支援方策によって個別最適な学びを実現することが可能であることがみてとれ, 日本の家庭科教育においても応用可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度後半に計画通りスウェーデンの学校を訪問し, 授業観察およびインタビュー調査を実施することができた。また, 日本の家庭科における個別最適な被服製作の支援方策を提案するために, 小学校家庭科の検定教科書を通時的に分析し, 布を用いた製作において用いられる技術という観点より製作題材の作り方やその記載方法の変化を振り返ることを目的とした論文を執筆した。以上より, おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度前半においてもスウェーデンの学校を訪問し, テキスタイルスロイドの授業観察およびインタビュー調査を実施する予定である。訪問する学校は, 令和4年度後半に訪問したストックホルムの小中一貫校に加え, スウェーデンの第二の都市であるヨーテボリの学校も検討している。令和5年度後半は, 日本の家庭科教師向けの手引きを作成し, 被服製作に関して, 発達段階に応じた作品例や支援の手立て, 評価方法を提示することを予定している。
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