2023 Fiscal Year Research-status Report
The expertise and gender gaps of elementary school teacher and education welfare in England in the early 20th century
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22K20252
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
小澤 由理 共立女子大学, 家政学部, 助教 (20961973)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 女性教育史 / 教職の専門性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き、教員の男女差にみる教職の専門性と福祉的業務の関係について昨年度(2023年2月~3月)にロンドンにて収集した一次史料(議事録)の解析と整理を行った。現在では取集した資料の情報は概ねの整理をつけ、学会発表や論文として研究発表するための資料作成の段階に来ている。 今年度の研究成果の一部として、女性教員の福祉的な業務に関わった福祉専門職者らの学歴やキャリア、行政当局内での立場などをまとめ、女性教員がどのような人物たちとともに福祉業務に関わっていたのかを明らかにした。その研究成果は令和6年度共立女子大学家政学部紀要70号に論文「イギリスの初期スクール・ソーシャル・ワーカーの経歴 : 20 世紀初頭ロンドンの児童保護委員会を手掛かりに」(2024年2月刊行)として発表した。本論文では、有給の福祉専門職者らのなかには女性教員よりも学歴の高く多様な社会事業の経験値があることを明らかにした。今後はこの成果をもとに階級格差や教育格差を背景とした、女性教員の教職の専門性を検証する予定である。 また2023年度7月に開催された国際教育史学会ブダペスト大会(オンライン)にて「FOREIGN MISSIONARY WOMEN TEACHERS AND THE KINDERGARTEN MOVEMENT IN JAPANIN THE EARLY 20TH CENTURY」というタイトルで学会発表を行い、複数の女性教育史研究者とともに戦前における日本・アメリカ・ヨーロッパの現職女性教員に関する研究交流を図り、海外の女性教育史の研究潮流を含めた知見を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年2月~3月までロンドン・メトロポリタン・アーカイブスとウェストミンスター・アーカイブス・センターにて収集した史料の解読と分析を終えて、今年度の学会発表に向けた整理を行っている。今年度は収集した議事録を詳細に読み解くために行政組織や当時の法律など確認すべき事項や必要な資料項目について今年8月に再びロンドンでの調査をする予定である。具体的には1920年代以降に改組された校長委員会に、それまでの議事がどのように引き継がれたかということを視野に入れた史料の収集と分析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階では、今年度の8月のロンドン調査ではロンドン行政当局に関する補足的資料の収集に加えて、女性校長会で女性教員の教職と福祉業務に関して、活発に発言した女性教員を特定し、彼女たちが学外に所属する女性教員団体(National Union of Women Teachers)での私的文書等を調査する。この調査を通じて、ロンドン当局内外における女性教員らの抱えた福祉的な業務と教職の専門性について女性教員らの様々な声を明らかにしたい。調査の場所はロンドン大学内教育学部の所蔵する史料をする予定である。
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Causes of Carryover |
今年度8月に追加のロンドン調査を実施し、ロンドン行政当局に関する補足的資料の収集に加えて、女性校長会で活発に発言した女性教員が所属する女性教員団体(National Union of Women Teachers)での私的文書等を調査することで、当初計画した女性教員らの様々な生の声を明らかにする必要がある。調査の場所はロンドンメトロポリタンアーカーブスおよびロンドン大学内教育学部図書館の所蔵する史料をする予定である。なおこれらの調査を含めた研究報告は今期の秋に開催予定の国内の学会である教育史学会大会にて報告する予定である。以上の研究活動における旅費の確保と学会報告準備のために研究費を使用する計画である。
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