2022 Fiscal Year Research-status Report
理科における確証バイアスによる不適切な行為に着目した基礎的研究
Project/Area Number |
22K20254
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
山根 悠平 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 助教 (00965270)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 理科教育 / 研究倫理 / 研究公正 / 確証バイアス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、理科教育において学習者が結果を書き替えたり書き写したりするなどの不適切な行為について、学習者が自身の仮説や信念に合うデータばかりに着目してしまうという確証バイアスによる不適切な行為のメカニズムを明らかにすることを目的としていた。そして、一年次では、理科における確証バイアスによる不適切な行為を中心として、それらに関わる要因の検討を計画していた。 このため、先行研究から確証バイアスと不適切な行為の関係を調査した。その結果、例えば確証バイアスによって実験データを不適切に分析してしまうことや、実験によって学習者が異常だと思われるデータを得た場合に、そのデータを無視したり受け入れなかったりすることが示唆された。また、確証バイアスや不適切な行為においては、学習者の批判的思考によって、その程度が異なることが考えられる。このため、本調査において、確証バイアスによる不適切な行為に関わる要因の一つとして、批判的思考に着目することとした。 次に、これまでの調査をもとに、確証バイアスによる不適切な行為の質問紙を検討、作成した。具体的には、振り子の実験を題材とし、その実験における確証バイアスと起こりうる不適切な行為に関する問題を作成した。また、理科における批判的思考の尺度の中で、本調査で関連のある因子の検討を行い、質問紙へ追加した。 二年次については、質問紙のさらなる検討と調査の実施、および分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
二年次に確証バイアスによる不適切な行為の質問紙を作成する予定であったが、試案として一年次に作成できた点においては順調に進展しているといえる。しかし、確証バイアスによる不適切な行為の要因はその教室の文化や教師の価値観など様々にあり、統制することが難しいことから、どこまでの範囲で調査するのか、検討の余地が残るという点において、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、批判的思考を含めた確証バイアスによる不適切な行為の質問紙の予備調査を行いながら、本調査へと進め、分析を行う。分析に際しては、回答パターンを類型化し、その特徴を見出すことを予定している。
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Causes of Carryover |
今年度の学会はすべてオンラインで行われたため、旅費の支出がなかった。また、質問紙調査の実施はまだ行っていないため、データ入力等による人件費の支出がなかった。 次年度は、オフラインでの学会発表も増えてきており、旅費の支出がある予定である。また、質問紙調査の実施も行うため、人件費の支出が予定される。
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